short story

□jealousy
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鳴り続ける携帯。
本当は出て欲しくなんかない。
素直になれない私。
はるかはキッと顔を上げて私から離れる。

「分かった…。」

もう…終わりね…。
そう思った瞬間…。



──────jealousy



また…貴女電話してるのね…。

視線の先には携帯で楽しそうに女の子と話す貴女の姿。
最近いつもね。
私の気持ち知ってる癖に…。

「…。」

私は押し黙ったまま,視線を逸らし,
アトリエへと向かう。
見てられないから。
見てしまって傷付くのは分かってるから。

何故かしら?

貴女を束縛出来ないって分かってるのに…
束縛したいのよ。
傷付くって分かってるのに,
隣にいたいのよ。

どれ位時間が経ったのかしら?
ふと,アトリエの扉が叩かれる。

「みちる?いるんだろ?」

「…。」

「みちる?」

「…何かしら?」

少しだけ扉を開く。

「どうかした?」

扉を開けて入ってきて,
優しい手つきで髪を撫でてくれる。
私はこの瞬間が好き。
はるかが私だけを見てくれてるから。

「何でも…ないわ。」

束縛すると貴女が離れていきそう。
だから…,貴女を縛ることなんて私には出来ない。嫌われたくないもの…。

「そう?じゃ…僕出掛けるけど…
一人で大丈夫?」

「えぇ…。」

言ったは良いものの,直ぐに自己嫌悪に見舞われる。
素直になれない私。
なんて可愛くないのかしら。
全く嫌になるわ…。

「みちる?本当に大丈夫??」

「…え?あ…えぇ…大丈夫よ。心配しないで?」

一言"行かないで"と言えたらいいのに。
言えないのは私の高いプライドのせい。

でも…我慢する私に追い討ちを掛ける貴女の言葉。

「僕,今日泊まってくるから。」

「……」

泊まってくる?
女の子の所に?
嫌…嫌よ…はるか…。

これ以上辛い想いをする位なら…。
束縛してはるかに嫌われる位なら…。
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