short story
□ただの相棒?
1ページ/3ページ
ただの相棒。
それなのに気になる君の存在。
もっともっと別の君を知りたい。
これって…
───────ただの相棒?
僕が戦士になって数ヵ月が経つ。
戦士としての仕事にも大分慣れてきた。
そして,隣に…彼女がいる事にも。
放課後。
僕は今日も相棒である君の元へ向かう。
「あら,はるか,今日は珍しく時間通りね?」
「みちる…まるで僕が毎日毎日待たせてるみたいな言い方止めてくれよ…。」
「本当の事よ?
天才ジュニアレーサーの天王はるかさんは,フリークの女の子とお戯れが忙しくて,放課後は待たせたくなくても待たせてしまうらしいですから?」
エメラルドグリーンのしなやかな髪をなびかせてクスクスと笑う僕の相棒,みちる。
放課後は町内を見廻る為に,共に行動してる。待ち合わせしてるんだけど,中々女の子達が放してくれなくて僕は遅刻ばかりなんだよな…。
「おいおい,あんまり苛めるなよ…。」
「クスクス。冗談よ。さ,行きましょ?」
「あぁ。そうだ,いつも待たせてしまってるお詫びにお茶でもどう?いい店見つけたんだ!」
「そうね…。いいわ。行きましょうか?」
「みちるみたいな美人をエスコート出来て光栄だなぁ。」
「あら,お上手なのね?」
得意の甘い言葉も彼女には軽くかわされてしまうんだよな。
いつも余裕のみちる。
その余裕顔が崩れる時ってあるのかな。
最近ふと考える。
みちるの余裕顔が崩れるのを見てみたい。
これは純粋な好奇心。
その余裕顔の下の素顔を,見てみたい。
その端正な顔から溢れるほど,眩しい笑顔が見てみたい。
その綺麗な瞳から流れる涙を,見てみたい。
ただの相棒。
それなのに気になる君の存在。
もっともっと別の君を知りたい。
これって…