俺が変態だって事は、自分でもよく分かっている。だけど、何故だろう。
レナの事を目で追ってしまう変態な俺は、ものすごく恥ずかしかった。
この気持ちは何だろう?分かっている。恋なんだ。
でもこれは一方通行なもので、レナは俺の事仲間だとしか思ってない。

あ、今レナが走ったら綺麗に髪がなびいた。本当に綺麗だった。
ついついその髪に触れたくなってしまう、でもできない。

こんなに近くて、こんなに遠い―――。








  その髪に触れたくなる     









雛見沢に来て初めての秋がきた。まだ少し、ひぐらしのなく声が響いている。
そりゃそうだ、まだ9月だしな。俺は外に出て一回大きなのびをする。
本当にのどかな場所だな。
ここに来てからは、心が穏やかになってとても気持ちがいい。
いつも追われていた、地獄のような日々はもうここにはないからだ。

「おはよう圭一君、あ……来るの遅かったかな?かな?」
「ん?おお!レナ、おはよ。いんや、全然遅くないぞ、むしろ早くないか?」
「えへへ、ちょっと早起きしちゃって」
「そっか。じゃあ行くか」
「うん!」

俺は自伝車に乗って、レナの後を追うように走る。レナはご機嫌で
顔は何故かかぁいいモードみたいになってる。何か見つけたのか?
そんな事をぼんやりと思った。今日は俺とレナしかいない。そう、つまり

デート

な訳だ。と言っても、そう思ってるのは俺だけだな、多分。
そう思うと悲しくなる、俺はこんなにレナの事想っているのに。
あぁほら、また触れたくなる、その髪に。髪だけじゃない。
全て……身体とか?ってこんな事レナに言ったら、
顔真っ赤にするだろうなー。見たいが、そんな事言えないよな。

「…………レナ」

その呟きは俺にも聞こえないほど、小さなものだった。



“好きだよ”















「はぅ〜、かぁいいものいっぱいでレナ幸せ〜〜〜」
「そうか……ってレナ買いすぎだぞ……?」
「いいの、いいの!あーもう満足、満足」

そりゃよかった、こんだけの物買って、満足しなかったらどうしようかと。
レナが買ったものは計15の変な物。何かは……まぁ、言わなくていいだろう。
あーしかし、こんな金よくあったな?貯金でもして貯めてたとか?

「じゃあもう帰ろっか。暗くなってきたしね」
「そーだな、じゃあ……あ!」
「どうしたの圭一くん?」
「ちょっとレナ、こっち来い!」
「え?ちょ、ちょっと圭一くん?!」

俺はあるものを発見して、レナの手をとる。その手は小さくてすべすべで
温かかった。あー、このままレナを抱きしめたい!でも今はそれよりも!

「レナに買ってやりたいものがあるんだ!」

俺はそのままレナの手をとって、ちょっと高そーな店に入った。
そしてそのままづかづか歩いて、それを手に取る。
俺の手には、キラキラと輝くもの。やっばい、顔がにやけた。

さっきショウインドウに映った、綺麗で可愛いペンダント。

一瞬で俺は、そのペンダントが欲しくなった。買って、レナに渡したい。
絶対似合う自信はあった。その通り、そのペンダントは、
まるでレナの為に作ったのかのように、似合っていた。

店を出て、早速袋からペンダントを取り出し、レナにつけてやった。
レナはかあっと顔が真っ赤になっている。

「…………えっと、に、似合うかな……?」
「おう、似合う!すっげー似合う!よかった買って、本当に!」
「圭一くん……」

ああもうそんな顔するなよ!本当に可愛いなこいつは!
幸せそうに笑うレナ、途端その綺麗な瞳から涙が流れ出した。
いきなりの事に驚く俺に、レナは何でもないと言う。
な、なんなんだ急に……!?俺はなにかしたのか!?

「うっ……嬉しい……よ、ありがと……本当に……っ」
「そ、そんな、泣くなよ!ほら。レナの笑顔が見たいんだよ、俺は!」
「……うん、うん」

涙は止まっていなかったが、レナはにっこりと笑った。
あぁ、もうダメだ。この気持ちどうしようもない。

ぎゅうっとレナを抱きしめた。

拒絶されるかと思ったが、レナは受け入れて抱き返してくれた。
ぎゅっと、ぎゅぎゅうっと。肩にレナの涙が流れ込んでくる。
嗚咽が聞こえる。欲しかったもの、ここにある―――。

「圭一くん、好き、大好きだよ……!」

うんと俺は頷いて、レナの髪を撫でた。丁寧に丁寧に。




次の日から、レナはいつも俺があげたペンダントをつけていた。
ものすごく恥ずかしいんだけど、レナはそれが今までのどんな物よりも
大切な宝ものになったらしい。そんな事を皆の前で言うものだから、
俺とレナの関係は、その日から、彼氏彼女になった。カップル……カップルか〜。
う〜ん、何ていうか……バカップルの方があってる気がした、何故だ?

「圭一くん、だーいすき!」

(20060827)





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