「邪魔するよ」
カラリと乾いた音をたてて襖が横に開き、関口が顔を見せる。しかし、京極はいつものように本から顔を上げることもない。
「なんだ、今日もきたのか。君はよっぽど暇なようだね」
それだけ言うと、横に置かれている骨壺を引き寄せて中をのぞく。
「生憎、茶菓子がちょうど切れているがそれでもいいかね」
「君がそんなことを気にするなんて珍しいな」
関口はそう言って、いつものくたびれた座布団の上に座る。
それを横目だけで見ると、京極は片手だけで器用に急須から湯呑に茶を注ぎ、机の上に置く。
関口は簡単に礼を言うと、それを受け取り口に運ぶ。
しかし、とたんに湯呑を口から離して、湯呑の中をあわてて覗く。
「なんだい、これは!?」
「榎木津が置いて行った飴湯だ」
そう無感動に京極は言う。
「甘くて口の中が気持ち悪いよ」
「だから、茶菓子がいるか聞いたんだろ」
「僕は君とは違うからね。それだけでわかるはずないだろ」
関口は口をとがらすと、また一口飴湯を口に含んだ。
生姜の香りがすっと部屋の中に上がった。

(お礼3つ)

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