短編小説【他校専用】

□小さな生命
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ドンッ!!


「…。」

「っきゃあ!」


ぼーっと歩いていたら目の前から走ってきた女子に気がつかなかった。

彼女も何かに一生懸命で俺に気がついてなかったらしい。


「ごめん…。」

「いいえ!!こちらこそっ!!すいません…。」


彼女はぶつかった時にばら撒かれたビラを拾い出した。

俺も手伝おうと思いしゃがんでビラに手を伸ばす。

目に入って来た文字は『STOP!』とでかでかと書かれた文字。

内容は、最近花壇が荒らされているからやめて欲しい。とのことだった。

誰がこんなことをやるんだ。と思いながら廊下に大いにぶちまけられたビラをせっせと集め出す。

彼女は小さい体を一生懸命に動かして拾っている。

腕章を見ていると園芸委員らしい。


「…花が好き、なのか?」


たいていの園芸委員はそういう奴が多い。

好きでもなかったら花の世話なんて面倒くさいから、殆どの奴はしない。


「えっ!?あっ!はい!!大好きです!!」


彼女の笑顔で周りがほんわかとあたたかくる。

ビラ集めは小さい身体をせっせかと動かした見知らぬ園芸委員と俺ですぐに終わった。


「ありがとうございました。」

「いいや…。」

「それじゃぁ…。」

「あっ…。」


俺は彼女に名前を聞こうと口を開こうとした。

が、ぺこりと頭を下げ、またすぐに走り去って行ってしまった。

多分同じ学年なんだろうな。

そうして俺もその場を後にした。
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