短編夢小説【立海専用】

□幸せな世界が当たり前ではない。当たり前ではないのが幸せな世界だ。
1ページ/1ページ











皆さんは想像できますか?













誰もいないこの世を。












ただ独りだけの世界を。














朝起きたら












自分独りだけの音しかない世界。














そんな世界を、












貴方は想像することが、














できるでしょうか?












多分、














できないでしょう。












だって、














人間ですもの。












人のぬくもりが感じられない世界なんて、














あっても意味が無いものよね。












でも、














あたしは、












そんな夢を、














見た。












どこを歩いてても、














人は、












あたしだけ。














店のシャッターは、












開いているのに、














誰一人居ないの。












不安で不安で仕方がなくて、














駆け足で探したの。












人を。














でも、












いない。














まるで違う世界に独り取り残されたように…











悲しくなった。
怖くなった。
辛かった。
助けて欲しかった。
失望した。
絶望した。
夢だと思いたかった。
信じたくなかった。











…叫んでも、















誰も助けには来ない。











仲がいい友達も
頼りにしている先輩も
親も
先生も
兄弟姉妹も
近所のおばちゃんも
隣の家の猫も
向い側の家の犬も
庭で鳴いていた小鳥も
近くの小学校の子供達の声も


…最愛の人も




















誰一人…






























真っ暗になって、













目が覚めて、













光が差した。













読書の途中で転寝をしていたみたい。













でも、













目が覚めても、













また、独りだったらどうしよう?













そんな不安が













わいてきた。



























「おはよう。」






「あ、れ…?蓮、二…?」





「相当疲れてたんだな。ベッドで寝るか?」






















そばには、蓮二がいた。













独りじゃない。













やっぱりあれは、夢だったんだ。













あたしは、独りじゃない。













だってそばには、













蓮二がいるもの。






















「どうする?」







「少し寝たから大丈夫。」







「そうか?」







「うん。」






「ならいいんだ。」





「はい、お世話かけました。」



















とても悲しい悲しい夢。













でもね、













幸せが実感できた夢だったんだ。






















「ね、蓮二。」








「なんだ?」








「大好き。」








「…………………。」










「あれ?」










「…どうしたんだ?いきなり…。」








「だって蓮二のこと、好きなんだもん。」








「なんか、…可笑しいな。」









「何それー。」







「本当のことだろう?」









「ま、当たってないことも無いけどさ。」








「ほら。」













そういってクスクスと笑う蓮二。















どこが可笑しいのかわからないけど、











そんな風に笑っている蓮二を見られるのも、














幸せの一つだよね。






















































人間は、その物事の終わりを迎えないと、























どれほど恵まれていたかわから無い動物だ。























だから、その物事の終わりを迎える前に、
























当たり前じゃない、幸せに感謝しましょう。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ