小説

□uneasiness
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─バシャバシャッ─
響く雨音。やっとの思いでハルヒの腕を掴む──腕が冷たい…どうやらしばらく濡れっぱなしだったらしい。

「ちょっ…何すんのよ!!」
お前こそ、なんで今俺から逃げたんだ!?
「あんたにだけは…こんな姿見られたくなかったのよ…!」ハルヒの言うこんな姿とは泣き顔のことらしい。
「わからないの!…あたしはそばにいていいのか…!」
ハルヒの手は震えていた。

俺はガバッ、と抱きしめた。

いいに決まってんだろ。…俺はそばにいて欲しいって思ってる
「…本当に?」
あぁ、嘘はつかないさ。
─しばらく間を空けてから、ハルヒは頷いた。
「…よし、帰るか。それじゃ風邪引いちまうぞ?」
「…うん。」
俺はハルヒを傘の中に入れ、着ていた制服の上着を濡れて寒そうな肩にかける。
「ありがと」
「あぁ」
…片手で傘を、片手でハルヒの手を握る。


「─ハルヒ」
「なに?」
いい言葉が見つからない脳内で、必死に言葉を繋いで言った。
「不安になったりするな」
「…うん」
「これまでも、これからも…俺はお前から離れたりしないから」
ハルヒはくすっ、と小さく笑った。
「うん…わかった…破ったら死刑だからね?」
「約束するよ」


いつのまにか雨が上がって、その空には虹がかかっていた。
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