:幻色

□終末connection
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「明日」

「え?」

「明日もし世界が終わるなら。あんたならどうする?」

夕暮れの帰り道、君はそんなことを言ったね。初めは何のことかと思ったけど…そうか

「もしかして、あの本のことですか?」

ダンスの特訓の帰り際、本屋のショウウインドウにベストセラーと大きな文字で書かれた本。

『世界が終わる一日前の話』

なんとも分かりやすいタイトルだろう。でも、だからこそ君の心に刻まれたんだ。
そして今この質問をされている。

何かしらの理由で地球が滅びるとしよう。あんたはただ1人その事実を知っている。どうする?

時間は24時間

残りの時間をどう過ごすんだ?

「周りの人は知らないんですか?」

「ああ、あんただけ」

それは

「トロイは」

「明日地球はなくなる。」

要するに…まだ治ってないんですね。


「普通に過ごします」

「その心は」

「心配させたくないじゃないですか。不安にさせたくないじゃないですか。」

事実を知っているのは私だけ。なら、なら不安なのは私だけでいい。
何食わぬ顔で特訓を続けます。旅を続けます。

「ん〜…オレと意見が割れたね」

「え」

じゃあ

「言うね。明日世界がなくなるんだってね。あんたにだけ」

「その心は」

「そうすればオレは気兼ねなく気持ちを伝えられるだろ。」

「え?」

「だーかーらー。」

断られるのが怖いオレがあんたに“スキだ”って言えるだろ?

それは…

「な…な言ってるんですかぁあぁあぁ!」

「あれ?脈あり?」

「ちっ違いますよ!私はそんな…」

耳を真っ赤にして慌てる彼女に説得力は皆無。笑って

「ジョーダン」

「へ?」

少し残念そうな顔をした君も好き。

「そ そうですよね!冗談ですよね!明日世界が無くなるわけでもないし!」

「そうそう。冗談。」

そうしてまた歩き始めた。

赤く染まる帰り道。しばらくして彼女は口を開いた。

「でも」

「ん?」

「悪くないですね」

私だって怖いもの。
あなたにこの手を放されるのが。
もし、世界の終わりが来るなら私もきっとそうするだろう。

『キリさん。知ってました?後1時間で世界は滅びるんですよ。

ハイ。ホントです。

だから…』








世界が滅んでも愛してます

(マジ?)
(ハイ。ホントです)

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