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□秘め事。
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僕には竜崎に隠している事が一つある。
キラの容疑がかかっている僕は、手錠を着けて24時間常に竜崎の監視下の元生活をしている。
僕が寝ている間もずっと起きて監視しているらしい。けど、寝ずの監視は流石の竜崎も堪える様で、時々気を失う様にいきなり寝る。初めのうちは流石に驚いたが、良くしたものでもう慣れた。
今日もソレ。
後ろからの視線の気配が無くなったと思ったら、床に転がっていた。
「……今回はほぼ4日間貫徹、か」
ふぅ、とため息をつきながら毛布を掛けた。
……手錠をしてるのだから何処にも行かない(正確には"行けない"のだが)し、何かするわけでもないのに、何でそこまでするのか。
「……"キラ"、か」
キラに対しての異常なまでの執着心。
僕をキラだと疑っているからこそこんな無茶苦茶な監視を続けてる。
だけど、僕はキラじゃない。
「言ったところで納得しないよな」
丸まって床に寝ている竜崎の横に腰を降ろす。起きる気配は無い。
「………」
前に、ふとした拍子に竜崎に触れる事があった。そうしたら少し嫌そうな、困った顔をした。
そう。
元々接触するのが苦手な性格のようだし、竜崎からすれば僕は憎むべき"キラ"の疑いがかかっている者だ。殊更そんな相手に触られるのが嫌なんだろう。
そう思ったら、何気ない時に竜崎から手を伸ばされる事にも少し戸惑いを感じるようになってしまった。
「……だけどさ、僕は」
一緒に捜査をする仲間だと思ってるし、大切な友達だとも思ってる。
日に日に自分の中で竜崎の存在は大きくなっていくばかりだ。
「例えお前に嫌われているとしても、僕はお前の事嫌いじゃないよ」
起きている時は触れる事が出来ないから、こうして時々竜崎が眠っている時だけ、起こさない様にぼさぼさの黒髪頭に触れて撫でる。
無茶苦茶な監視の仕方で、身体を壊さぬようにと労る気持ちを込めて。
こうして、今だけ。
「――おやすみ、竜崎」
竜崎には絶対に、内緒。