パラレル
□一緒にお食事など如何でしょう
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公園を後にして、さて、帰って何を作ろうかと思案した時、冷蔵庫の中身がほぼ空っぽの状態だった事を思い出した。帰り道の途中でスーパーに寄ってついでに当面の食材も買い込む事にする。
今からだと夕飯の時間に合わせれば良いとして、それまでこの子の腹を満たすモノ……と、
あれ?―――そういえば。
「……この子、何食べるんだ……?」
人の姿をしているとはいえ、耳と尻尾が付いている猫、“イノベイター”である。普通の猫の場合、人が食べる物を食べさせるのは良くないのだが、彼の場合はどうなのだろう?作るとは言ったが、果たして人が食べる物を彼に食べさせても良いのであろうか?となると、
「………ここはやっぱ無難にキャットフード、とか??」
うーん?、と首を傾げる。
ちらり、と後ろを見ると、トコトコと自分の後を大人しく付いてくる彼。
「あー…っと、ところでお前さんてさ、何食べるの?」
きょと、と頭に?を浮かべて見上げてくる。
言葉が通じているのならば、聞いてみればとりあえず答えが出る……ハズ。
「えーと、魚とか肉とか好き?」
こくり、
小さく頷く。
「人が普通に食事するものとかってのはダメ?腹壊しちまう?」
ふるふる、
今度は首が横に振られる。
「お、そっか!人が食べるものでも平気なんだな?」
こくり、
「よぉーっし分かった!平気なんだな!!じゃあお兄さん特製の煮込みハンバーグ食わしてやるからな〜!」
折角だから、キャットフードとかではなくて美味しいもの(今のご時世、キャットフードも半端なく美味しいものに進化を遂げているけれど)を食べさせてあげたかったのだ。料理には自信がある。
心配ごとが無くなったニールは黒猫の手を取ってぎゅう、と握ってスーパーを目指す。
いきなり手を握られて内心びっくりした黒猫の尻尾がまたぶわりと逆立ったが、それもすぐ治まりいつの間にかに今度はゆらゆらと揺れだしていた。
それを知るのは、「イノベイターが居る」ともの珍しそうに一人と一匹(?)を見つめる周りの通行人のみ。