パラレル

□幸せをお届けに
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かわで さかなをつかまえた。
ひさびさの ごちそうだ。
なのにせっかくつかまえたさかなを ちょっとしたすきに よこどりされた。

だから おれは よこどりしたやつらをおいかけた。

『おれの めし かえせっ!』


とちゅうで なんどかもみあいになったりもした。
でも とりかえせなかった。

そして またおいかけた。


そうしたら―――――



「うおおぉお!?」


やつらが かきねをこえてにげてったほうから おどろいたようなこえがきこえた。
にんげんの こえだ。

いまこのまま おいかけてでていくのはまずいとおもって おれはかきねをこえず そのばにかくれた。

………さかなは しかたない あきらめよう。


「…………ついてないなぁ」


また こえがきこえた。
おれは すこしだけのぞいてみた。
そこには ひっくりかえったべんとうをまえにして ひどくおちこんでるにんげんがいた。
たぶん さっきのやつらにおどろいて べんとうをおとしたんだとおもった。


『………あ』


そこでおれは きづいた。
もし おれがやつらをおいかけていなかったら このにんげんのべんとうが ひっくりかえることはなかったんじゃないだろうか。


『……すまないこと した』


せっかくのめしが なくなってしまうきもちは いまのおれにもわかる。

かんせつてきではあるけれど おれも あのべんとうをひっくりかえしたげんいんのひとつ だ。
ちょっとだけ せきにんをかんじる。

ふらふらとあるいていくにんげんを しずかにおいながら なにかあのにんげんにしてやれることはないかと おれはかんがえた。

そして おもいついた。


『よつばの くろーばー……』


あのはっぱをもっていると しあわせをはこんでくれると きいたことがある。
さっきあのにんげんは 「ついていない」 といっていた。 

よし よつばのくろーばーをさがして あのにんげんにやろう。


にんげんのすんでいるばしょをかくにんしてから おれはくろーばーさがしを かいしした。


……そのまえに あのにんげんがみちばたにおいてったべんとうを すこしだけはいしゃくした。





…………だって はらが へってたんだ。

しかたないじゃないか。
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