パラレル

□一緒にお食事など如何でしょう
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「何か飯作ってやるからウチおいで」


“きゅるる”とかわいい音を立てる腹をおさえて、顔を真っ赤にしている黒猫の姿にくすりと笑みをこぼしつつ、そういえば自分も小腹が空いてきたなとふと思って、それならばと黒猫に提案してみる。俯いていた顔を上げてきょとりとニールを見る。


「な、腹空いてるんだろ?いつもクローバーくれたお礼。だから、おいで?」


尚も紅い瞳をぱちくりさせる黒猫に手を差し伸べる。だが手を取ろうとしない黒猫に「……やっぱ嫌か?」と訊ねれば、ふるふると首を横に振る。
先程から様子を見ていれば、どうやら言葉は話せないが人の喋る事は理解しているらしい。流石はイノベイターと言ったところだろうか。
話せない分、見上げてくる瞳は「自分が行っても良いのか?」と言っているかのよう。


「いーのいーの、気にすんなって!!一緒に来てくれたらおにーさん嬉しいなぁ」


だからそう言ってにかりと笑ったら、手とこちらを交互に見てからおずおずと差し出した手を取った。その様子が何だか可愛らしくて、思わず反対の手でわしゃわしゃと頭を撫でる。


「よぉーし、んじゃ行こうか!!」


ぽかぽかと天気も良く、ゆっくりと本も読めた。何より、思いがけずあの黒猫とも会えた事にニールは嬉しくてたまらなかった。
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