‡箱館‡

□Idoと言って?
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つまり、此処箱館では、男同士でも…同性でも結婚出来る法を、新しくつくろうと、そういうことらしい。
成程、と斬新だが意外と現実的な内容に、土方は感心した。
しかし、常人だったら普通、そういう考えには至らないだろう。
突拍子もない発想なら、きっとこの男は箱館一だ。
「そういう決まり、俺がつくる。だから、なぁ、歳三はん。俺の嫁さんになってくれないか?」
男に対して嫁になれ…っていう口説き文句もどうかと思ったが、それには構わず、土方が溜め息を吐いた。
「お前、初めて逢った時から全然変わってないな。」
突然、全く関係のない話をし出した土方に一瞬きょとんとし、しかしすぐに人見が笑った。
「歳三はんも、初めて逢うた時からずっと綺麗や。」
「莫迦。」
言葉とは逆に小さく微笑んで、土方が言った。
本当に、人見は初めて逢った時から一級品の変人だった。


彼と出逢ったのは、数年前の京。
池田屋の後で、新撰組の名が、京の町中に轟きだした頃だった。

出逢いとは言っても、色気の一つもない、はっきり言って、血生臭いものだった。




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