‡箱館‡

□ダーリンは変わり者
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「何事だ!!!」
野村と春日、互いの刀が触れ合う寸前、よく通る聞き知った声が三人のいる長廊に響き渡った。
「「「土方さん!!」」」
突如現れた美しい男に三人の動きがぴたりと止まる。
「一体何の騒ぎだ。相馬、野村、春日。」
整った眉を吊り上げ、土方が三人の顔を見渡す。
「聞いてくださいよ土方さん!春日の野郎がですね…」
「餓鬼の告げ口のようだな。」
野村の言葉に対し、ぼそりと呟かれた一言に再び野村が激情する。
「なんだとてめぇ!!」
野村、そして春日の手が一度は納めた刀の柄にかかった。
「やめねぇか!!」
大きな目を吊り上げ、土方が雷鳴のような怒声を上げた。
そのあまりの迫力に、二人が素早く刀を引き、姿勢を正した。
「まったく…お前ら二人はいつもいつも…。相馬。」
「はい…。」
土方が犬猿の仲の問題児二人を一瞥し、小さく溜め息を吐いた。
「今日の原因は何だ?」
この二人の喧嘩は日常茶飯事だ。
今回の原因は何か、もはや興味もわかないが、聞かなくては何も始まらない。
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