‡箱館‡

□君のとなり
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「えっ?源吾!?」
「こうしてれば…」
顔をうつ向かせ、甲賀が口を開いた。
「滑ったら互いに道連れになるから、おあいこだ。」
そう言うと、甲賀が松岡を見上げ、小さく微笑んだ。
その無理矢理な理由がいかにも甲賀らしくて、松岡も甲賀に笑いかける。
「じゃあ、源吾が滑ったら倒れないように俺が支えてやるよ。」
まだ少し冷たい小さな手をぎゅっと握り締める。
「そんなこと言ってて、磐吉が滑って俺を道連れにするなよな。」
さっき、倒れかけた身体を力強く支えてくれた手をぎゅっと握り返す。
「はいはい。精一杯気を付けます。」
手を繋いで、身体を寄り添わせる。
「うん。じゃあ、俺も気を付ける。」
やっぱり、今日は頗る気分がいい。

君がとなりにいるからさ。





fin.

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