‡箱館‡

□慟哭
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「…馬鹿野郎。今時追い腹斬るなんて流行んねぇぞ…。」
そう言って笑った土方さんの顔は今にも泣き出しそうだった。
「同じ年、同じ月、同じ日って…決めましたから。」
「そんなこと勝手に決めんじゃねぇ。」
そう言った途端、土方さんがその綺麗な顔を伏せてしまったので、俺は慌てて土方さんのすぐ側に駆け寄った。
「ひ、土方さん!?ごめんなさい!!だから!泣かないで下さい!!」
華奢な肩に手をかけ、土方さんの顔を覗き込もうとした瞬間、突然、土方さんが顔を上げた。
「バーカ。誰が泣くかよ!」
あまりに近くで微笑まれ、俺は自分の顔が真っ赤に染まっていくのを感じた。
「土方さん…。」
「なぁ…利三郎…。」
土方さんがそっと俺の肩に額を押し当てた。
土方さんが触れているところの体温が急激に上がる。
「おめぇはきっと…死ぬまで俺の側にいてくれんだろうな…。」
呟くようなその声が、何故かひどく儚くて…。
「土方さん…。」
俺は、壊れ物を扱うように、その背に手を回した。
「『絶対』に…貴方の側にいます…。」
命の続く限り永遠に。
貴方に寂しい思いだけはさせはしない。
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