09/27の日記

14:49
暗〜い、お話(芭録)
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タイトルどうり。
死ネタが平気な御方のみ下へ…。

(いや、平気でも見ない方がいいかもしれません。)






【ラブレター・フロム・救急病院 】



好きだった人が、死にました。


「オレ、ずっとミヤの傍にいる気。」
「ミヤが好き。」
「来年も、いっしょに来る気!」


まっ白な病室のベッドの上で、そんな風に笑って言ってたアンタの事を思い出す。


ねぇ、録センパイ…好きだから付き合ってほしい、とアンタに告白された時。はっきり言ってオレは、アンタの告白をまるっきり信用してなかったよ。
だっておかしくねぇ?
ずっと傍にいてオレの性格しってンのに、オレに惚れるなんてさ。


一時の恋愛、キレイごとだけを見せあって互いのヒマをつぶす。そんな恋愛なら飽きるほどしてきたけど。アンタのいう様な『本気の恋愛』なんてさ、オレには理解できなかったワケで。


だからアンタに告白された時『いいッスよ』って返事したのも不純な気持ちからだったんだよ。まぁ男同士、ってのも面白そうだったし?なにより、アンタに教えてやりたかったんだ。


『愛なんてもんはね。
この世のどこにも存在しないんですよ、と。』


少なくとも、オレのなかにはね。ないんですよ、そーいうの。

だから、録せんぱい。アンタの心もてあそんで、最後にはヒドイやり方で捨ててあげる。教えてやるよ、無知で純粋なアンタのことをズタズタに傷付けてさ。これも人生勉強ってやつ?
もうセンパイがオレみたいなのに引っ掛からないようにね。

なんてセンパイ思いな後輩なんでしょー。
オレって、やさしー(笑)


――そうしてオレはアンタを散々、傷付けた。


他の女との情事の跡を残して、アンタに逢う。
アンタの悲しそうな顔には、もちろん知らんぷりをして。一生懸命に気持ちを押し殺してるアンタをみるのは、とても滑稽だったよ。


アンタの誕生日には、高級な品をプレゼント。
無邪気なセンパイはオレからのプレゼントだと、目を輝かせながら素直に喜ぶ。


「…オレ、すごく嬉し気。でもホントによさ気?これ、高かった気でしょ?」

「べつに…いいンすよ、どーせ女からの貢ぎモンですから。」


途端に嬉しそうな顔が一転して、泣きそうな顔をした録センパイ。
「そっか…でも嬉し気だよ。アリガト。」
あーあー、無理して笑ってるのがバレバレだ。

…まだ耐える気なのかよ?録センパイ。


なんか、だんだんオレの方にも余裕がなくなってきてて。だってアンタ、なにをしても無理に笑ってオレを許すんだ。ねぇセンパイ。オレはそんなアンタが嫌いで、恐くて、仕方がなかったんだよ。


毎日のように夜の街に誘い出し、いちいちアンタの目の前で他の女と絡んで。
できる限りの策をつかってアンタを追い込む。


さぁ、ホラ。
泣いて怒って「もう別れる」って言えよ。

オレに愛なんて無いって、いい加減に悟ってよ。
オレにいれ込むだけ無駄なんだって、そろそろ分かれって。


「ミヤ‥っ、好き気…。」


…なんでだよ。
なんでそんな事、言うんだよ。なんでそんな風に泣きながら、大人しくオレに抱かれるんだよ。

慣らしもしないで乱暴に抱いて、アンタの心も体もズタズタに傷付けて。
なのに、なんでこんなになってまでオレに「好き」なんて言い続けるんだよ。

――もう沢山だ。



「いい加減にして下さいや…アンタもう、分かってンだろ!?オレに遊ばれてるだけだって!」


怒鳴りつけて、アンタを散々に罵った。
アンタなんか性欲処理の道具だと、始めっから遊びのつもりなんだと。

もうアンタの事が目障りで仕方がないから、別れましょーやと。


黙って刄まじりのオレの言葉を聞いていたアンタは震えた声で、答えをかえす。


「…ミヤがオレのことを好きじゃないって知ってた気。でもオレ、ミヤが好きだから。ミヤの傍に居られるなら、なんでもよかった。」

「ごめん…オレずっとミヤのこと苦しめてた気だね?もうミヤを困らせないから。…バイバイ…ミヤ。」


そう言って、泣きながらオレの部屋を去っていった録センパイ…。オレは部屋に一人になり、その苦しさに耐えられなくなった。
そしてやっと気がついたのだ。


オレも、本当はアンタの事が好きだったのだと。
あまりにもアンタを好きすぎて、アンタを信じるのが恐かったんだと。
いつかアンタに裏切られるのが恐くて、ただ頑なにアンタの気持ちを否定していただけなのだ、と――。


情けねぇ…そんな下らない理由で、あの人を苦しめたのかよ。センパイはそんなオレのドアを何度もたたいてくれたのに。オレは…


枯れるほど泣いて、後悔して、朝になったらアンタに謝ろうと決めた。頭さげて、いや、土下座したっていい。今までの事、アンタに謝りたい。そんでアンタが好きだから、オレの傍にいてくれって伝えたい。



そう決心した、次の日の朝だった。
アンタが交通事故で亡くなったって、連絡が来たのは―――。



話によるとオレの部屋をでた直後、録センパイは赤信号だったのにもかかわらず道路に飛び出したらしい。車はブレーキをかけたが間に合わず、即死だった。


自殺…?オレが、傷付けたから?それとも泣いていたから、信号に気付かなかった?ねぇ、センパイ。こんなの嘘だろ?きっとアンタ、オレのこと怒ってるから…だから、こんな風にオレを困らせようとして、からかっているだけなんだろう?


「なーんてね、ミヤ心配した気?オレを散々なかせた罰気だよ☆」

って、笑って目を開けるんだろ?


ねぇ、起きて下さいよ。
オレ、やっと気が付いたんですよ?
アンタを愛してるって…、本当はずっとアンタが好きだったんだ、って。
だから謝らせて下さいよ。傍にいて下さいよ。


…『好き』だって、言わせて下さいよ!!!!




つまらない意地を張って、オレはかわりのない何よりも大切な人を失った。アンタを傷付けたまま、アンタの事が好きだと伝えられないままで。オレたちの手は、遠く離れてしまった。


…でも、大丈夫。今度は、オレがアンタのことを追いかけますよ。アンタがそうしてくれた様にね、オレはもう何があったって迷わないッスよ。あぁ、アンタが閉ざしたこの扉を開けて、早くアンタを抱き締めてぇな。


ねぇ、録センパイ。「好き」だとか「愛してる」とかさ、アンタに逢って言いたい事が沢山あるんッスけど、たぶんオレの『言葉』だけじゃ信用ないからさ。ちゃんと、形に残る証拠をつくります。

あ・笑わないで下さいよ?ラブレターなんてさ、
オレ初めて書いたんですからね(笑)



『もう二度とあなたを離しません。これからはずっと一緒です。録センパイ。』



一生分の愛を込めて、あなたに送ります。

ラブレター・フロム・救急病院より。



― ― ― ― ― ―



オレが最初で最後にあなたに書いた手紙は、俗にいう『遺書』ってやつになるのかね?


『ミヤ、なんでそんな事した気!?』


…もう、録センパイ。
せっかく逢えたっつーのに、そんな泣きながら怒らないで下さいよ。それにね?自殺とか死とかなんて、もうどうでも良いんすよ。

ただオレはもう一度、
あなたに逢いたかったんだ。


愛してます、録センパイ。――オレやっと素直になれました。
 
 
 
 
END 





たぶん、録に逢おうとしたら病院に運ばれちゃったんですね芭唐。
でも諦めきれなくて結局、録に逢いにいっちゃったと。

まぁ…仕方ないですよね。だってもう正気じゃいられない程に愛しちゃったっていうのなら。
常識も人生論もなにもかもどこ吹く風。

だって最愛の人に会うのになりふりなんて・・・

かまっていられない!

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