09/13の日記
01:47
抹茶アイスで魁牛
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【魁牛・抹茶味】
じりじりと照りつける大陽に、蝉の鳴き声。
外のベンチにひとり座りながら、『暑いなぁ』と御門は呟く。
魁『牛尾殿、ここにおられたか。』
牛『…あれ、魁くん。どうかしたかい?何か、僕に用事かな?』
魁『い、いや…その‥、(ただ何処に居るのか気になって探してしまったとは、とても言えぬ…)』
困った顔で、必死に言い訳を考える魁。そんな彼を黙ってみていた御門は軽くほほえんで、自分の座っているベンチの隣を指さした。
牛『…立っているのもなんだし‥隣、座らないかい?』
魁『…‥相すまん、で‥では、失礼する。』
思いもよらない御門からの申し出にかるく動揺しつつ、おずおずと隣に座る。
隣、というには少しばかり距離をおいてだが。魁にとっては、それさえ精一杯の状況だった。
魁(むぅ、困った…。)
意中の人と、ふたりきりになったのは良いものの。
何を話したらよいのか分からない。会話のない静寂に、知らず知らず胸が急いでくる。
魁(な‥、何か‥なにか喋らなくては…!)
牛『…暑いね…。』
魁の緊張が最高潮に達しそうになった時、ぽつりと御門がもらした。
牛『…さっき後輩に抹茶のアイスをもらったんだけど、よかったら魁くん一緒に食べないかい?』
魁『アイス…せ、拙者でよければ…その‥。是非、戴こう。』
照れたように申し出を受ける魁を見て、御門はふふっと笑った。魁は御門の手によって開けられた袋に手をのばし、暑さで少しばかり、やわらかくなってしまっている丸く小さいアイスを口に含んだ。
それは口の中に入れた途端に、みるみる溶けて。
あまい抹茶の味と冷たい食間が舌先にのこり、なんとも言えない感覚だった。
牛『ちょっと溶けかけてるけど…おいしいね。』
魁『拙者はアイスなどあまり食べた事がなかったので尚更、気にいった。』
牛『ふふっ、それはよかった。』
アイスにより緊張が解けたのか、会話がはずむ。
アイスを口に運びつつ、
ふたりは楽しそうに会話を続けていた。
魁『……‥?』
ふと気付くと、いつの間にか御門の顔がとても近くにあった。どうやら話しているうちに、自然と至近距離で会話をするようになっていたらしい。
それに気付いた魁は、顔を赤く染めて黙ってしまう。
魁(…気付かなければよかった。)
さっきまで忘れていた緊張が、みるみる甦ってくる。喋っている御門になんとか相づちを打ちながらも、
近すぎる御門の唇にどうしても、意識が集中してしまう。
自分のやましい目線に気付かれやしないだろうかと、魁は気が気じゃない。
牛『…おいしそう?』
見つめられた状態のままでとつぜん御門に尋ねられた。自分の気持ちがバレてしまったのではないかと、魁はドキッとする。
牛『魁くん、さっきから、食べたそうな顔してる。』
アイスなら、まだあるよ?と笑って付け足す御門に、魁はホッとして胸を撫で下ろす。
魁『…‥あ、あぁ。戴こう』
そう言って、魁がアイスの入っている袋に手をのばすと。そんな魁の手を御門がすばやく捕えて、互いの手の平を合わせてるようにくっつけてきた。
魁『!?』
魁が驚いて声をだす暇もなく、御門はするっと指をからめて軽く握りしめた。そして、やっと互いの目があわさったところで、ゆっくりと唇を繋げてきた。
魁『…‥!』
やわらかい感触を脳が確認すると同時に、御門のつめたい舌先が口内に侵入した。御門の舌はまるで、魁の舌をさがしまわるように動き続ける。逃げてはいないので、魁の舌はすぐに見つかってしまったが。
うごけないで固まっている魁の舌を、御門がちゅっ、ちゅ、と吸ってみせる。
その音が合図となって、
魁も積極的に接吻に応えはじめた。
互いの舌先には抹茶の甘さが残っていた。絡めば絡むほどに、甘い口付けだった。御門の唇は今まで触れたことのある何よりも、やわらかくて。魁はその感覚にすら酔った。どちらの舌も、つめたいのに。互いの鼓動と握り合う手は、とてもあつくて。傍らで溶けてゆくアイスのように、自分たちもこのままそうなってしまうのではないかと。そう感じた。
牛『…さっきね。ベンチに座ってた時、ホントは君を待ってたんだ。』
部屋にもどる帰り道、御門は魁に、本当のことを告白した。すこし前から、魁の想いに気付いていたという事。そして御門も、自分のことを好いていてくれたという事。…先ほど話をしていた時に接吻をしたいと思ったのは、じつは魁だけではなかったということ。
真実をつげ、恥ずかしそうに顔を俯けた御門に、
今度は自分が告白する番だと決心して、魁は口をひらいた。
アイスより、何よりも。
お主の口付けが一番あまかった、と―――。
おわり ☆☆☆
オチなし、意味なし。
とりあえず初の魁牛達成!てかアイスの実(抹茶味)万歳!!!!
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