08/08の日記

22:52
嘘だらけのオレを見逃して?だって嘘がなくなったらオレは…(芭録)
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【嘘の世界】 
 
 
はじめてだったんだよ。
人に嘘をつきたくないって思ったのは。

…アンタが、はじめてだったんだ。


ねぇ、録せんぱい。オレのいる世界はね、嘘と見栄のかたまりで出来ているんだ。わずらわしい事は一切なしで、互いをやり過ごす。そんな上辺だけの付き合いをする為の嘘から、周りにいる奴らを壊さないためにつくという大義名分で吐かれる嘘まで。

オレの世界は、嘘の塊。

べつに今までその事にたいして疑問なんかもった事はないし(むしろそれが当たり前だと思っていたし、)誰を相手に嘘つくのにも、なんの抵抗もなかったしね?
まぁオレにとって嘘っていうのはね、生きていく上では必要っつーか絶対で。あたり前といえるものだったからさ。

めんどくさい壁にあたらないようにと、嘘で塗り固めた盾もって。
うん、まぁそうやってオレは生き続けてきたわけなんですよね、いままで。


なのに、どうしてっスかね。いつからこんなに苦しくなったんだろう。
アンタ、みてるとさ。
なんだかオレ、自分のついた嘘がひどく醜いものに思えてくるんだ。

アンタ、オレとちがって白いからさ。基本的に嘘とかつかねーし、しっかもオレにはつく必要もないとか思ってるみてぇだし?
素直で、ホントに無邪気。…肌は黒いくせにな(笑)でも、オレはその逆。計算高ぇし、うそに染まった性根はもう直せる範囲じゃないとこまできてるし、いろんな意味でさ。もう真っ黒だから。

アンタの笑顔みるたび、なんか、くるしくて。
オレらしくないけどさ。胸が、痛むんだよね。
感じたことのない「罪悪感」ってやつがさ、いままで逃げてきた分を取り戻すかのように勢いを増してて。その重みに、オレたえられそうになくて。


だから、決めた。
もうアンタには嘘はつかない。アンタだけにはずっと本音で向き合っていたい、って――
本気でそう思ったんだ。


…だけどさ…。
やっぱダメだね、オレは。そんな一朝一夕にはさ、変われなかった。
でも、オレにも言い分があるんだぜ?

だって、この醜くくて汚い本音はいつかアンタを飲み込んで泣かせてしまいそうだった。

優しすぎるアンタがオレの闇に触れて壊れるのも恐かったし?
それでアンタを失うのが――‥何より、こわくて。
臆病で弱いオレは、ふたたび嘘を繰り返しつくようになっていた。


うまく、やってたつもり。だったけど…
流石だよね〜!アンタ、すぐに気付いちゃった。
他のやつは気付かないのによ、アンタはオレの嘘に気付いていつも心配そうに、問い掛ける。


「…やだな〜気にしすぎっスよ、録センパイは。
なんもないですって。」


ある時は、そういって誤魔化して。


「ホンット心配性っスよね〜、アンタ。――それとも何?そんなにオレのことが気になるんスか?
まさか録センパイにそんなに愛されてたなんて‥!!ミヤちゃん感激〜。」


なんて、笑ってからかったりもした。
アンタは顔まっかにして、「な…なにいって‥〜〜馬鹿、ミヤ!」とか言って怒ってたけど。
…でも、アンタの不安そうな目はゆらめいたままで。


痛ぇな〜、あれ。
ノリでごまかせねぇのってさ。やっぱ辛いわ。
それでもアンタ、オレがもう一度念を押して笑えば、だまってくれて。今思えば、あれはアンタの優しさだった。


そんなことを繰り返しているうちに、オレの好きなアンタの元気がどんどん無くなっちゃってさ。
オレも、その場しのぎの当たり障りないねぇ事しか言えなくなって。
録センパイと二人でいればいるほど、その間にある冷たい壁がおおきく見えた。


苦しくて耐えられなくなった。


…ごめんなさい録センパイ、アンタに嘘をつきたくないと藻掻けばもがく程
オレ、息ができなくなった。間違ってるのはオレ、悪いのもオレだよ。
でもアンタの嫌う嘘は、オレを護る唯一の武器。
どうしても、捨てられなかったんです。


オレが持っている唯一の真実は、アンタを愛している気持ちだけ。
だからこそ、これですべてを終わりにするよ。



「ねぇ、録センパイ?
もうアンタ飽きちゃった。――別れましょうか。」




― ― ― ― ― ―



願わくば

アナタにつく最低な嘘が
これで最後に

なりますように
 

 

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