短編小説(BL注意)

□☆屑桐無涯・青春diary
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「…おい二人とも。牛尾は客人だ、風呂くらいは一人にしてやれ。」


妥当な策を提案してみたが、妹弟達は納得しない。それどころか今度は、牛尾の隣の布団の位置まで争い始めている…。

やれやれと牛尾と顔を見合わせてみると向こうもオレと同じ様に、困り顔をしている。

牛尾は『弟達の好意は嬉しいが、どう対処したら良いのかが分からない…。』と、すがるような目でオレに訴えてくる。


…そんな顔をされても、オレだって分からんわ。それも、恋敵状態になってる弟妹達の対処法なんて…。むしろこっちが『どうしたら良いんだ?』と聞き返したい位だ。

お互いに何も言えずに、暫しの沈黙を続ける。
――だが、それがいけなかった。

とどまる事を知らない妹弟達の口ゲンカは、ついにオレの恐れていた事態を引き起こした。


「ミカちゃんの隣は、私だもんっ!だって私は、ミカちゃんの…お嫁さんになるんだからッ‥!!」


「「…‥!!?」」


と・・、突然になにを言いだすんだ!?妹よーーーーーーーーーーーーーっ!!!?


「…ちがうッ!ミカちゃんは、俺のお嫁さんになるんだッ…!!」


オマエまで、何を言いだしちゃってるんだよ!?
弟ーーーーーーーーーーーーーーッ!!?這


脳内でフルにツッコミを
入れながら、オレは金魚のように口をパクつかせた。


「…二人共、どうして僕と結婚したいんだい…‥?」


・・・てか、オマエもそんな冷静に、ツッコミ入れてンじゃねーよ!!
このボケーーーーーーーーーーー!!!!這這


あぁ、もう訳が分からん。なんで、そんなに冷静なんだ?コイツは…。くらくらとする頭を押さえ付けながら、仕方なくその場を見守る。すると弟達は牛尾の真剣な問い掛けにもじもじとしながら、小さく答えをだした。


「だって、ミカちゃんと結婚すれば…。無涯お兄ちゃんと、ずっといっしょに居られると思って…‥。」


「…‥?!煤v


「…俺も。この前、ミカちゃんが泊まりにきた時、すっげー楽しかったし…だから…。」


「ミカちゃんをお嫁さんにもらえば、」
「ミカちゃんのお嫁さんになれば…、」


「「毎日、あんな風に、たのしく過ごせると思って…‥。」」


「お、オマエ達…ッ!!」


…なんて、なんて、可愛いんだ!我が弟妹よ…!!他の幼い弟達も、「うんうん」と頷いている…!!兄ちゃん、オマエ達を兄弟に持って幸せだぞ…!!


「だから、私がミカちゃんと結婚するのっ!それで無涯お兄ちゃんと皆で、幸せに暮らすのッ…!!」


「いいや、俺だッ!俺がミカちゃんと結婚して、楽しく暮らすんだッ!!」


オレが嬉しさに一人で感涙していると、弟達が再び口喧嘩を始めた。


「‥お、おい!オマエ達、もう良い!分かったから…!なっ?そんな事、しなくてもオレは…!!オイ、牛尾!オマエもなんとか言え!!」

「・・・・・。」


なんとか二人を止めようと、慌てて牛尾に助けを求めるが牛尾は何やら真剣な表情で黙ったままだ。



「私ッ!」「俺だっ!」


「オマエ達、良い加減にし…‥『あ!じゃあさ…!!』


「僕が、屑桐君と結婚して、この家にお嫁に来るよ…!!」


「「「!!!?」」」


「なッ‥!オマエまで、何を言うんだ…!」


牛尾の突拍子もない発言に動揺していると、弟と妹が呆気にとられた顔をして、こちらを見ていた。


…おい。ちょっと待て?ひょっとしてしなくても今コイツ、ものすげー爆弾発言かましちまったんじゃ…‥?


沈黙している弟達。

自分の爆弾発言を何も理解していないらしく、にこにこ顔の牛尾。


そして、冷や汗だらだら状態のオレ…。

 
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