短編小説(BL注意)

□☆屑桐無涯・青春diary
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「…違うもんっ!ミカちゃんは、私と結婚するんだもんッ…!!」

「なんだと!?ミカちゃんは、オレと結婚するんだっ!!」


互いに負けじと言い合いを続ける兄弟たち。オレの脳内に、考えたくもない不安がよぎる。


「お‥、オマエ達っ…?もしかして、その‥ミカちゃんってのは…まさか――‥!?」


オレが恐る恐る二人に尋ねてみると、二人は互いの顔を見合わせて同時に口を開いた。


「「みかどお兄ちゃんの事だけど…??」」


・・・・頼むから、嘘だと言ってくれ。


――‥それと、弟よ…。奴はあれでも、れっきとした男なんだぞ…?今の日本では、(多分、これからも)男同士の結婚ってのは、認められていないんだぞ…?いや、そもそもだな!「嫁」ってのは一体、なんなんだ…!?

どこから、そんな発想が生まれたんだオマエ!?


妹は、ともかくとしても…。弟には、『それは何か違うぞ』と教えてやりたかったんだが…‥。

じつは今、そんな牛尾と付き合ってる自分がいるというのも事実の話で…オレは弟達に対して、それ以上は何も言う事が出来なかった…。

そして、その後も二人の言い争いは終わらず…。オレはただただ頭を抱えて、ひとり途方にくれていた――…。






○月△日 金曜日 雨


今日は部活を終えてから、弟達と一緒に買い物に出掛けた。明日はめずらしく休みを利用して、牛尾の奴がうちに泊まりにくる。

昨日の一件で分かった事だが…。やはり弟達は皆、(なぜか)牛尾の事を気に入っているらしい‥。皆がうきうきとしているのが、手に取るように分かった…。


ちなみに牛尾にはよく、お菓子などを手土産に貰っていた。(よく弟達に、クッキーなどをくれる…もしかしてそれで餌付けされたのか??)

だから今回は、こちらもそのお返しにと食事の献立を、少しばかり増やす事にした。流石に、食卓を豪華にする…とまではいかないが。牛尾はいつも、うちの料理をひどく嬉しそうな顔をして食べる。


金持ちには縁のない、質素な料理。はっきり言って、アイツの口に合っているのかなんて分からんが…。あんなに嬉しそうに飯を食われると、な。

こちらも作りがい、ってのがあるものだ。

すでに冷蔵庫のなかは空に近い。(週末だから)まあそんなこんなでオレ達は、近くのスーパーへと買い出しに出たのだった。



 




「お兄ちゃん、私あっちに並ぶね。」

「じゃあオレは、こっち見てくる!」

「…オイ、二人とも!あまり遠くに行くなよ!」


「「はーーいっ!」」


良かった…。昨日のケンカ以来、あまり口をきかなかった二人だが…どうやら、牛尾の奴が泊まりに来ると聞いてご機嫌らしく、昨日の事などすっかり忘れてしまっている様だ。


買い物カゴを手にしながら、軽く店内を物色する。そして無駄な物には一切目もくれず、手早く目当ての物だけをカゴの中に入れていった。(買い物の基本だ)

…それにしても、まいった。

まさか、弟達がそんなに牛尾の事を気に入るとはな…正直、考えてもなかったぞ。

牛尾がうちに泊りに来るのは、今回で2回目だ。ごくたまに部活が終わってから牛尾がうちに遊びにくるが、そんなのは極まれな話で…。弟や妹が牛尾に会った回数なんて、本当に、片手で数えられる程度だというのに。


(…まさか、兄弟揃って好みが似てるってンじゃねーよな…‥。)


「無涯お兄ちゃん!ミカちゃん、これ好きかなぁ…?」

「きっと、これも好きだぜ!ね、兄ちゃん!」


オレは、牛尾が泊りに来る事を心底嬉しそうにしている弟達を見て『やっぱり血か…?』と、密かに呟いて笑った。
 
  
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