短編小説(BL注意)
□† 最悪試練
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「――‥で、オマエ本当に その格好して接客すんの かよ…‥?」
「…‥仕方ないだろう?
だってもう、決まっちゃ ったんだ。」
学校行事の中でも、ベスト3に入るといわれている、学園祭。その学園祭でうちのクラスでやると決まった出し物は、喫茶店だった。ただし、他のクラスがやる喫茶店とは少し違う。
普通ならば、学級委員長として、いち生徒として、
はりきって準備をするべきの学園祭…。
だが、今回に限ってはそうもいかない。
だって、今回のうちのクラスの出し物は―――。
「…しかし、どこのバカが そんな事を言いだした
んだ…?よりにもよって 女装喫茶とは…‥。」
「…‥言いだしたのは、
クラスの女の子達さ。
でも、まさかこんな事
になるなんて…‥。」
そう、彼が言ったとおり、今回のうちのクラスの出し物は『女装喫茶』だった。喫茶店をやるにあたり、
他のクラスとは違うところを作ろうと案を求めた所、男子が言ったセクハラ的な一言が原因で、女子達全員を怒らせてしまい、その
結果がこの事態へと発展してしまったのだ。
『女子がミニスカートで
客の男たちにパンチラ
でも見せれば、イイと
思いま〜す♪』
冗談とはいえ、この発言にクラスの女生徒達が怒るのは分かる。
…しかし、その報復が男子全員の女装というのはなんとも理解しがたい。
しかも、厳選なるクジ引きの結果。
僕はれっきとした男子であるにもかかわらず、
女子の制服を着させられる事になってしまった。
そう、つまりは『女学生』のコスプレをやらされるわけだ。
晴れやかな屋上で屑桐君と昼食を取りながら、
僕はその時間にいなかった彼に状況を説明していた。
「フッ、それにしても‥
オマエがセーラー服をな ぁ…!くくッ…!!」
まるで他人事の様に、
僕の顔を見て笑っている屑桐君に内心ムッとする。
だが僕は、ふっ。と作り笑いを浮かべて未だに笑っている彼にむかってこう言い返した。
「…君、そんなに笑ってて イイの…?
実は、君が決まった役
は…‥。」
「――――…!!?」
僕からの連絡事項を聞いた直後に、屑桐君の
「嘘だーーー!!」と、いう叫びが屋上全体にこだました。
―学園祭当日―
「キャーッ!牛尾くん、
かわいいっ!!」
「…えっ?そ、そうかい? ははっ、ありがとう。
でも‥その‥どこか、
変じゃない‥かな…?」
「全っ然、変じゃないよ! それに牛尾くん似合って るし〜!あとで写真、
撮らせてね〜っ♪」
「・・・・・・。」
自分の周りできゃあきゃあと騒いでいる女の子達の反応に、正直とても驚いた。だって女子の制服である、スカートを、男の僕が着ても似合うはずがないじゃないか。だから僕はこの服を着た時に、きっと皆に笑われたり白い目で見られるのだと思っていたし、その、覚悟もしていた。
そんな僕の予想に反して、周りの皆からの反応は意外と好評で――。
なまじ、笑われると覚悟をしていただけに。
なんだかとても複雑な気分だ…‥。
「牛尾くん、すごいな‥
そうやって髪をおろすと 本当に女の子みたいだね 。」
「わ〜!本当にその格好、 似合うよ!!牛尾君」
「えっ、そうかい…?
あ、ありがとう‥。
君達もよく似合うよ。」
僕は、複雑な気持ちのまま、にへらっとした愛想笑いをふりまいた。
正直、女子どころか男子にまでこの様に誉められてしまうと…
もう、笑うしかない。
「‥ゲッ!?おい、見ろよ 、あれ!」
「うわ、こっち来るぞ!
皆、目を合わせんな!」
すると突然、クラスの中がざわざわとどよめき出した。
何事かと思い、声のする方を見てみると…‥。
「‥く、屑桐君っ…!?」