短編小説(BL注意)
□★裏切りの恋
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「さっきから、何を
考えている……?」
いつもと違う自分に気付いて、屑桐が手を止める。
「…べつに?ただ、
ちょっと考え事を
してただけだよ。」
「余所事を考える程、
余裕がある訳か。」
そう言って、屑桐は再び
僕を鳴かせ始める。
もう他に何も考えられない位に。
…もしもだけど、屑桐が僕の事を『愛してる』なんて言ったら、この関係はきっと終わってしまう。
逆もまた然り―――。
大事な恋人を、悲しませる訳には、いかない。
その時は、きっと互いに
『別れ』を選ぶだろう。
ねぇ、屑桐。あの時、決別を選んだ僕達にこの先ずっと、『愛』が生まれる事はないけれど……。
誰を欺いてでも君の腕の中にいる僕は今、確かに君のモノだから。
忘れないで、いつか僕達が互いを裏切れる日まで。
裏切りの恋が、終わりを
告げる、その時まで―…。
END