短編小説(BL注意)

□◎ignorant†lover
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それは唯一、好きな人に
想いを堂々と伝えられる、愛に溢れた日。
男でも女でも、誰もが
様々な想いを抱えて過ごすこの一日…‥。


そう、今日は2月14日。




 ×ignorant☆lover×






  「ごめんなさい。」



本日、三度目の告白。
相手の女の子に多少の申し訳なさを感じつつ、
牛尾御門は女生徒からの
手紙と包みを返した。

返された包みを握り締め、女生徒は屋上を後に、走り去って行った。


手紙と共に渡される包み。今日がなんの日か分かれば、誰でもピンとくる。
そう、チョコレートだ。
お菓子会社の戦略で作られた女性から男性にチョコレートを送り、愛を告白する日。


バレンタインという名目で告白をしてくる女子の多さに内心驚きながら、牛尾は人知れず悩んでいた。
下駄箱から机、果ては部室のロッカーに至るまでに、牛尾宛てに置かれたチョコレートの山。


中には真剣に手紙で愛を
告白している物もあり、
牛尾はどう断るべきかと
頭をさいなませていた。


呼び出される分には、
本人に直接気持ちを伝えるだけなのだが、この様に置いていかれてしまうと、
どうにも困ってしまう。


箱に名前だけが書かれて
いる場合なら、義理として受け取り、「ありがとう」
と言って逃げる事も可能なのだが…、


手紙と一緒に、何も言わずに置いてあるという事は、必然的に「本命」になってしまうので、
対処の仕方に困ってしまった。



「……どうしよう……。」



…正直な所、自分はこんな事をしている場合ではないのだ。
 
 
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