□声
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誰が乱す事もなく、ただ真っ直ぐ並んだ街路樹が、秋の夕暮れの光により、紅葉のように紅く染まっている。

不意にざわ・・・と風が吹き、手を掛けていた白い格子がガタンと音を立てて揺れた。





僕はその風を感じたくて、そっと目を閉じた。













『声〜voice〜』

















「今日のテスト、ヒサンだったあ〜」
「え〜アタシは余裕」
「いーなあー」
「まあいいじゃん、終わったことだし」
「そぉだよねえ、さあカラオケいくぞぉ〜」



キャハハッと高らかに笑い声をあげながらゆるやかな坂道を下ってゆく女学生達。




「そういえば鈴木さんちの旦那さんがさあ・・」
「えぇっ、そおだったのぉ?知らなかったわあ・・」
「それからねっ・・」


その坂の途中で、何人かの年配の女性が立ち話に花を咲かせている。俗にいう、井戸端会議というものだろうか。





そのどの声も、高らかで、愉快そうで・・・とても活気に溢れていた。









風のざわめきとたくさんの笑い声・・・





何故か酷く耳に懐かしいその旋律に、







僕はすぐに耳を塞ぎたくなった。








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