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□Misunderstanding!?
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「ミランダさん、僕もご一緒していいですか?」

ミランダと神田が一緒にいると、必ずアレンが乱入してきて。

「お前ら2人だけじゃ頼りねぇから俺も行ってやるよ。」

そしてミランダとアレンが一緒にいると、必ず神田が割り込んでくる。
その激しい攻防に、かなり悲惨な結末が待っているとも知らずに――…。


Misunderstanding!?





ここ最近、黒の教団では有り得ない3人組が頻繁に目撃されていた。
ミランダ、アレン、神田の3人である。
何が有り得ないのかというと、全く気が合わない少年2人がプライベートで一緒にいる事だった。顔を突き合わせれば喧嘩に発展する。
そんな2人が何故一緒にいるか、ただ1人を除いた教団の全ての者が知っていた。

「…まーたアレン、ミランダとユウの間に割り込んでるさ。」

「…昨日は神田がアレンとミランダの間に割り込んでいたである。」

「2人とも必死だな…。」

談話室でミランダを挟んで座る少年2人を見て、ラビ、クロウリー、マリの3人は呆れたように呟いた。
傍目から見て、2人がミランダに想いを寄せているのは丸わかりで。
互いにミランダを取られたくないが為に渋々3人で行動しているのだ。
だが、25年間そんな好意を向けられた事がないミランダは、2人の想いに全く気付いていなかった。
ラビとマリが3人をじっと見ている事に気付き、クロウリーが2人に問いかける。

「……2人は行かなくていいのであるか?」

きょとんと問うクロウリーにラビは苦笑して、マリは僅かに頬を染める。

「…今あそこに入ったら殺されそうさ。」

「わ、私は別に……。」

自分達を見てそんな話をされている事など露知らず、アレンはミランダに笑顔で話しかけた。

「ミランダさんよかったら今日午後から街へ出かけませんか?かわいい雑貨屋さん見つけたんです。」

アレンの誘いにミランダは申し訳なさそうに目を伏せる。

「ご、ごめんなさいアレン君…今日の午後は…」

「俺がこいつのトレーニングに付き合う約束してんだよ。」

ミランダの言葉を引き継いで、神田はにやりと笑ってアレンを見据えた。神田に先を越された事にぎり、と唇を噛み締めるアレン。
だがすぐさまにこりとミランダに微笑みかけ、アレンは口を開く。

「ミランダさん、僕もトレーニング…ご一緒して構いませんか?」

「え?」

「なっ!!?」

いつもの如く、アレンはミランダと神田を2人きりにさせないよう、トレーニングに参加したいと申し出た。
遊びに行くわけでもないのに、トレーニングにも付き合うと言い出したアレンにミランダはきょとんとして、神田は深く眉間に皺を寄せた。

「えと、でも…神田君が私に作ってくれた特別メニューをするだけだから…退屈じゃないかしら…?」

「テメェの出る幕じゃねぇよ、すっこんでろ…!」

アレンが暇じゃないかと心配してくれるミランダに感激しながら、アレンは自分を睨む神田を冷たく一瞥した。

「僕も神田に剣の稽古つけてもらいますから、大丈夫です。…構いませんよね?神田…!!」

ミランダにわからないよう黒い笑みを自分に向けてくるアレンに、神田も射抜くような視線をアレンに向ける。

「いいだろう…後悔させてやるよ。」

火花が散る勢いで睨み合う2人に、ミランダはただただ首を傾げるばかりだった。
昼食を食べるために3人が談話室を出ていくと、ラビ達はふぅ、と息をついた。

「…トレーニングにかこつけて、決着をつけるつもりだろうか…。」

「な、なら、ラビとマリも行った方がいいのではないか?」

「でも抜け駆けするとリナリーがキレるしなー…。」

「あら、人聞き悪いこと言わないでよ。キレたりなんかしないわよ?」

談話室で話し込む3人の背後から、かわいらしい声が聞こえてきた。
3人が驚いて振り向くと、にこりと微笑むリナリーが立っていて。
驚く3人を無視して、リナリーはそのままソファに腰をおろした。

「お、おかえりリナリー…いつ任務から戻ったんだ…?」

驚いた表情のままマリがそう問いかけると、リナリーは紅茶を淹れながらあっさりと答える。

「昨日の夜に帰ってきたの。朝は兄さんの手伝いしてたしね。」

淹れた紅茶に砂糖を落とし、リナリーはもう一度笑顔を向けた。

「…帰ってきちゃまずかった?」

「い、いや…そういう訳ではないのだが……。」

たらたらと冷や汗をかきながら、クロウリーがぶんぶんと手を振る。

「リ、リナリー…あの2人に怒ってないんさ?」

恐る恐る問いかけるラビに、リナリーは目を細めて満面の笑みを浮かべた。

「…怒る訳ないでしょう?もう手は打ったもの。」

とてもかわいらしい笑顔なのだが、纏う空気があまりに黒くてラビは真っ青になった。
クロウリーに至ってはガタガタと震えている。
本当はマリも少し恐かったのだが、リナリーの言葉が気にかかり、思い切ってリナリーに問いかけた。

「リナリー…手を打った…とは?」

「ふふっ実はね……」

 
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