猫杉連載

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「あ、忘れてた」

明日から大学始まるんだった











「だいがく?」

「そう、だから晋助は明日から留守番なんだけど……」


今が夏休みだってことをすっかり忘れてた
学校は怠いけど行きたくないってことじゃない

ただ晋助が心配なんだ
大学だから毎日行く訳じゃないけどでも俺が大学に行っている間は晋助は一人で家に居なくちゃいけなくなる訳で……

拾った時だって一人は嫌だって大嫌いな風呂にまでついて来たぐらいだから
まぁあれから一ヶ月も経ったけど

けど一回も晋助に留守番なんかさせたことないし、ずっと俺が側に居たし…

絶対に晋助は留守番なんか嫌がる
むしろ俺が留守番なんかさせたくない


「……るすばん?」

「晋助一人で家に居るの。出来る…?」

「………一人?」


ほらやっぱり不安な顔になった


「……………できるよっ」

「え、ホントに……?」

「…うん」

「俺居ないんだよ…?晋助一人で家にいなきゃいけないんだよ……?」


俺の方がむしろ心配過ぎて授業なんか集中できない
もう学校に晋助連れてくか?いやそれはさすがに無理あるし

今なら子を育てる親の気持ちがわかる気がする









「本当に……本当に大丈夫…?」

「平気だって言ってるだろ。銀時…そんなに俺のこと信じれない……?」

「そんなことないけど…」


信じてない訳じゃないけど心配なんだ
俺がいない間に何かあったら!?

それに今晋助は大丈夫だって言ってるけどこれは強がりだから

俺が玄関の扉を閉めたらこの子は寂しくて泣くね、絶対

でも早く出ないとこのままじゃ遅刻…


「じゃあ…行って来ます」

「いってらっしゃい」


そう言って手を振る晋助はいたって普通のいつもの顔
もうちょっと、さ
"行かないで銀時"みたいなのを想像してた俺としては少し寂しい

晋助の頭を軽く撫でてから
パタンと小さく音をたてて俺は扉を閉めた






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