禁断短編小説

□時には邪魔が入ってもいいかもね。
5ページ/6ページ


ギュッ……



急に引っ張られたかと思うと、強く抱きしめられた。とっさの事で心臓が破裂しそうだ。



『やっと話せた……やっと触れられた……』



離れていた時間を埋め尽くすみたいに強く、優しく。ヒョンがはいた安堵の息が左耳を掠めて体が不意に熱くなった。



『………2ヶ月って思ってたより長いんですね。久しぶりに帰ったし、あっという間かな、って思ってたんですけど……ヒョクチェ無しだとどうも時間が経つのが遅く感じられて。』



1つ1つの言葉がじんわり心に染みていく。そういえばハンギョンヒョンにこんな風に抱きしめられたのって、久しぶりかもしれない。



『俺も……長かったよ』


意地で雁字搦めにもつれた頑なな俺の心も、ゆっくりとほどて、素直な感情が口の端からこぼれ落ちた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ