小説α

□酒乱 R18
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湖太郎の可愛い所は、顔はもちろんだけれどその性格が余計に、なんだと思う。

あんな可愛い顔して、チビで、言われなければ多分女と間違うであろう容姿。

にも関わらずの、あの口の聞き方。
何とも男らしい話し方。

そのギャップが、俺には堪らない。
もう、モロに可愛いと思う。

もちろん本人は、可愛いなんて言うと怒るんだけれど。



でも、たまには素直に首を傾げてこう、おしとやかに

唯?キスして?

なんて言われてみたい。










……あ、ヤバ

想像したらムラムラしてきた。



















「あ゙ー、…お疲れ」

最後の授業を寝こけて、首を寝違えたんだろうか。

教室から出てきた湖太郎はうなじの辺りを抑えて唸っている。

「何、寝違えた?」

「そんなトコ………いててて、クソッ…」

そんな風に湖太郎が悪態をつく。
可愛らしい顔で言っても全く怖くは無いのだが。


「さ、帰ろうか」

「あぁ」

二人して教室を後にしようとすると、中から冷やかすような、ちゃかすような声がした。


「あー、沢村、また会長にお迎えきて貰ってんのかよ」

「いいなぁ〜、三条先輩に出迎えてもらえるなら私も生徒会の仕事手伝っちゃおーかな」


男子は湖太郎をからかうように、女子は唯の隣を羨むようにそれぞれがこちらへ視線を向ける。



「手伝ってくれるのは嬉しいけど俺、厳しいよ〜?超スパルタ。毎日コイツしごくの楽しくて」

冗談混じりに言うと、女子達がきゃあきゃあ、と黄色い声を出す。


「三条さーん、みっちりイジめてやって下さいよー!」

「ギャハハ、そいつの世話なんて先輩も辛いスねー」


口々に言う彼等の言葉を笑顔で受けて、口を曲げているらしい湖太郎の背中を押し、俺達は教室を後にした。














「ッたくよー!バレてねぇのはいいんだけどよ、何だよ世話って!まるでお前が貧乏クジでも引いて俺の世話させられてるみてぇじゃねーか!」

周りからの俺等の認識は“中むつまじい輝かしい友情で結ばれた先輩後輩”のはずなのに!

とぷりぷり怒っている。

何が気に食わないのか。
本当は付き合っている事を隠せて、尚且つ一緒にいても怪しまれない、こんないい事はないだろうに…



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