小説

□可愛い王子 R18
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朝―――
見廻りをしていて、クロードの部屋の外側を通りかかる。
窓から漏れて嫌でも聞こえてくる、濡れた声。




「あぁっ………っはぁ、クロード、もっと…」

この声はマクガイル王国の隣にあるハイラル王国第一皇子、バロン・ハイラル様のもの。





「…」

俺は、足早にそこを通過する。








クロードは男にハマってからというもの、ほぼ毎日のように俺を抱く。

けれど俺以外の男を相手にする事も無くは無い。


「…」

俺はクロードの護衛兼性欲処理係というだけで、それ以上でもそれ以下でも無い。
クロードのする事に、どうこう言う権利なんて無い。







「…」

何でこんなに胸が痛いんだろう…

ルカは拳を握り締めて、その場から立ち去った。




















「こんにちわぁ」

「…」

目の前で、柔らかい笑顔を見せるのは朝方の声の主。
くりくりとした大きな瞳に長い睫、ふわふわの髪の毛。

一言で言えば、可愛い。
これで女の子ならパーフェクト、だと思う。


「…こん、ちわ」

「本当に竜人なの?見た目普通の人と全然変わらないね?」

「…翼は、今はしまっていますから…」

クロードが話したんだろうか?
バロン皇子はじろじろと俺を見る。


「僕、しばらく此処でお世話になるから宜しくね!」

「あ、はい…」

そう言って頭を下げた。

しばらくって、一体どの位なのだろうか…
話によれば、外交だかなんだかで、皇子自らこの国にやって来たらしい。


「ね、クロード、昼どうしよっか?」

にこにこしながらバロン様がクロードの腕にしがみついた。


「…」

外交っていうのは名目で、クロードに会いに来たのかな…

どうやらお互いが幼い頃からの付き合いで、俗にいう、幼馴染みってやつらしい。




「――ルカ」

ふいにクロードに呼ばれ、ドキッとする。

名前を呼ばれるだけで、ドキドキする。

「しばらくは俺の護衛から外れろ。夜も、自室でゆっくり休むといい」






「…………は、い…」

俺にも一応、自分の部屋がある。
けれど殆んど毎日クロードと夜を共にしている為に、今まであまり使ってはいなかった。



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