小説

□はじめまして
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―――‐…




『―――この、大馬鹿者がッ!』

低い声が、辺り一体に響き渡る。


『だいたい、白い翼ってのが前々から気に入らなかったんだよ!!』


――ま、待ってくれ、話を…


『…』





母さん…


…母さん!
俺の話を聞いてよ!

俺、この村の為にと思ってっ…





『出ていけ!!竜界の面汚しめ!』

『せいぜい人間界でこき使われるんだな!』



―――待ってよ、皆

俺は――――ッ!!























「………ぅ、」

ズキン、と頭が痛んでルカはうっすらと目を開いた。

「…?」

見たことの無い天井に、何やらふかふかした…ベッドらしきもの。

……ここは、何処だ?
俺は…?





と、不意に近くで足音がした。
段々とその音がこちらへ近付いてくる。

「――っ!!?」

すぐさま体を起こし、翼を広げ音のする方へ身構えた。









キィ、と扉が開きそこから現れたのは、背の高い銀髪の青年。


「―何だ、目を覚ましたのか」

「…」

「お目覚めはいかがかな?」

何やら手にはカップを持っているらしい。

いい、匂いがする。



「そう身構えるな。城の外に落ちていたのをうちの兵士が見付けてな」

青年はカップをテーブルに置くとこちらを振り向いた。


「………ぅ、…ッ!お、お前誰だ!!ここは何処だ!」

広げた翼の先を青年に向けて、ルカは力の限り威嚇する。

「…随分と威勢がいいな。ここはマクガイル王国の王宮、…俺の私室だが」

「マクガイル…王国?」

「お前の世界にも王国位あるんだろう?」


テーブルに置かれたカップからいい匂いが漂ってくる。
ふと、自分が腹が減っている事に気が付いた。



「その様子だと、何かワケありのようだな?」

「…」


「お前の国は女相手にも随分ヒドイ事をするらしい」

「…おん、な…?」


女…?
女が何処に………?

ルカが首を傾げていると、いつの間に近付いていたのか、口端をつり上げた青年がそっとルカの頬に触れた。




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