小説

□はじめまして
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「―!!」

突然頬を触られ、慌てて後ろへ跳び退く。

「可愛い顔が、台無しだ」

「……?」

「こんな幼い少女相手に…」




…………は?

少女?




「…ちょっと待て、少女が何処にいんだよ」

「……何処ってお前…」

目の前に、と言わんばかりに青年はルカを見る。

確かに、間違えられる事はしばしば…いや、多々ある。




「…俺は、男だ」

「…」

銀髪の青年は薄く唇を開いたままこちらを見ていたが、しばらくしてぷっ、と吹き出した。

「馬鹿を言うな。お前みたいな男が何処にいる。つまらん冗談だな」

「…う、こ…ここにいるだろうが!!」


先程の威勢は何処へやら。
ルカの翼はすっかり力を失い、へたりと垂れ下がっていた。


「大丈夫だよ、お姫様。俺が直々に話を聞いてやろう」

「だから、俺は男だっつーんだよ!!」



「…」

「…何だよ?」


青年はこちらを見つめている。
ルカの頭から爪先までをゆっくり観察して、それからまた顔を見た。

「随分口の悪い姫君だな。そっちの女は皆そうなのか?」



「ッだーーーー!!だから違うっつーに!これを見ろ!」

いつまでも信用しない青年に痺れを切らしたルカは、自分の上着を捲り薄い胸板を晒した。

「どうだ!この逞しい体を見ろ!何処が女だ、え!?」

「…」

本当だ…
と言わんばかりに青年は目を丸くして、先程よりも大きく口を開けたまま、ルカを凝視した。

「…」

「……おい?」

「…」









その後、何故か俺の薄い胸を見たコイツが偉く興奮したらしく、襲いかかってきたので翼で押し退けてやった。

この、銀髪…
クロードと名乗った彼の持ってきた暖かいスープを飲みながら事情を話す。
今は、村にはいられない…と。


少し考えてから、クロードは意地の悪そうな笑顔で俺にこう言った。

「護衛として、城に置いてやらなくも無い……が」

「…?」


薄く目を細めて笑う。
何か企んでいるような顔なのに、その綺麗な顔立ちに不覚にもドキッとした。






「その代わり、夜は俺の相手をして貰おうか?」

「………はッ!?」






それから、興味本意で俺に手を出したクロードが男にハマってしまい、毎晩相手をさせられたりと色々あるんだけど、それはまた、別の所で。


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