小説α

□純恋 ー下ー R18
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彩ちゃんとやらを不良先輩から救ってからしばらく経った。
彼女を救ってくれた恩人として、礼は言われた。


けれど、それだけだった。
橘草介と俺の関係は何も変わってはいない。



相変わらず都合のいい時に呼び出されていいようにされ、彼女から連絡が入って途中放棄なんて事もあった。






それでも俺は、橘草介が好きだ。
好きで好きでたまらない。

体を気に入ってもらえて、時々でも相手してもらえるだけ幸せだと思っている。














―一年生の教室、昼休み 



湖太郎と二人昼食を済ませた草太は窓際で他愛もない話をする。

珍しい事に橘草介も一人で教室にいた。
ただし、机に突っ伏して眠っているようだが。





「おーす、湖太郎。あれ、その子だれ??」

「尚輝、」


湖太郎の姿を見つけ声を掛けてきたのは後ろだけ少し長めの茶色い髪をした少年。


「あれ、帰ったんじゃなかたのかよ」 

「んー、単位やべぇって言われちゃったかんな〜」


彼は昼過ぎからは学校にいる事が少なく、草太は今日初めてこの人物を見た。
チャラチャラとしている印象だけれど、なんだか人懐っこそうでもある。


「…」

「で、この……って、先輩じゃん!」

「うん、草太っつーの。一個上の先輩だよ」


湖太郎が草太の方を向き直って尚輝と呼ばれた人物に説明をする。


「可愛い顔してるから、タメかと思っちゃった。先輩、ごめんね」

「かわ……っ」


「だろー?草太はベビーフェイスだからなぁ」

「……湖太郎には言われたくねぇんだけど…」


「はは、俺からしたら二人ともだけどなー」

ケラケラと笑いながらそう言うので、キッと睨み付ける。


「お、怒った顔もかあいーじゃん。先輩、俺ともお友達んなってよ」

「は………?」


ニカッ、と歯を見せて笑いながら彼はそう言った。



「俺の事は尚輝、でいいからさ、先輩の事も草太って呼んでいーい?」

「え、あ、あの…」



突然、なんなんだろう。

困惑して湖太郎を見れば、俺の視線に気付いて口を開いた。


「こいつチョーフレンドリーでさ。俺も最初会った時は軽く引いたけどな」


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