小説

□彼氏の後輩 R18
1ページ/10ページ



今年晴れて大学一年になった俺には、彼氏がいる。
高校時代に知り合った先輩で、二つ上。

その人に憧れ高校を決めて、大学もその人の後を追ってここに決めた。
だって、離れたくねぇから…




……なんてこの俺が気持悪い事を考えてしまう程の相手。
もう付き合って三年になる。

高校の時からモテモテで、まさか俺を好きだといってくれるなんて夢のようだった。
スポーツ万能で、優しくて、人気があって…

そんな自慢の彼氏の名前は、リュウセイ。


何処か自分達とは違う、古風で、和風な名前も、彼に合っていて格好いいと思う。



お互い大学に入ったので、家を出て共に暮らす事も決めた。
駅から少し離れてはいるけれど、毎朝一緒に部屋を出て、一緒に帰ってこれる。

ああ、俺ってなんて幸せ者。



ただ、二人で住むにはちょっと広い気もするけど、リュウセイが何かあった時とか、誰か泊める時とか、良くない?

と言うのでそれに従った。











「あ、ルカ!」

「お疲れー、リュウセイ、先輩。」


大学では、先輩と呼ぶ。
一応、回りには内緒だから。

だって、男同士だし…



「悪いな、待った?」

「ん、全然」

息を切らせてリュウセイがキャンパスの向こうから走って来た。


「じゃあ、帰ろうか」

「うん!」

にっこりと微笑んで、二人並んで歩き出す。
恋人同士なのは秘密だけど、仲の良いパートナーとして生活を共にしているという風に、周りには認識させていた。








「ルカー、今日の晩メシ、何?」

「あー…家にキャベツあるから、それ使って…」


帰り道の途中のスーパーで葱を顎に当てながら唸る。
今日は俺の当番。

うぅん、何にしようかな。



「ま、ルカが作るならなんでもいいけどね」

「あ、………ったく」

俺の手から葱を奪い取ってカゴへ入れるとリュウセイは違うコーナーへ行ってしまった。

なんでもいい、が一番困る。


「……よし、」

肉コーナーへ向かって豚肉を手に取ると、俺はリュウセイを探した。

















「麻婆キャベツなんて、初めて食べた。」

「俺、好きなんだ」

食べ終わった二人分の食器を持って立ち上がる。
美味い美味いといいながら、リュウセイは綺麗に完食してくれた。


次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ