小説
□彼氏の後輩 R18
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今年晴れて大学一年になった俺には、彼氏がいる。
高校時代に知り合った先輩で、二つ上。
その人に憧れ高校を決めて、大学もその人の後を追ってここに決めた。
だって、離れたくねぇから…
……なんてこの俺が気持悪い事を考えてしまう程の相手。
もう付き合って三年になる。
高校の時からモテモテで、まさか俺を好きだといってくれるなんて夢のようだった。
スポーツ万能で、優しくて、人気があって…
そんな自慢の彼氏の名前は、リュウセイ。
何処か自分達とは違う、古風で、和風な名前も、彼に合っていて格好いいと思う。
お互い大学に入ったので、家を出て共に暮らす事も決めた。
駅から少し離れてはいるけれど、毎朝一緒に部屋を出て、一緒に帰ってこれる。
ああ、俺ってなんて幸せ者。
ただ、二人で住むにはちょっと広い気もするけど、リュウセイが何かあった時とか、誰か泊める時とか、良くない?
と言うのでそれに従った。
「あ、ルカ!」
「お疲れー、リュウセイ、先輩。」
大学では、先輩と呼ぶ。
一応、回りには内緒だから。
だって、男同士だし…
「悪いな、待った?」
「ん、全然」
息を切らせてリュウセイがキャンパスの向こうから走って来た。
「じゃあ、帰ろうか」
「うん!」
にっこりと微笑んで、二人並んで歩き出す。
恋人同士なのは秘密だけど、仲の良いパートナーとして生活を共にしているという風に、周りには認識させていた。
「ルカー、今日の晩メシ、何?」
「あー…家にキャベツあるから、それ使って…」
帰り道の途中のスーパーで葱を顎に当てながら唸る。
今日は俺の当番。
うぅん、何にしようかな。
「ま、ルカが作るならなんでもいいけどね」
「あ、………ったく」
俺の手から葱を奪い取ってカゴへ入れるとリュウセイは違うコーナーへ行ってしまった。
なんでもいい、が一番困る。
「……よし、」
肉コーナーへ向かって豚肉を手に取ると、俺はリュウセイを探した。
「麻婆キャベツなんて、初めて食べた。」
「俺、好きなんだ」
食べ終わった二人分の食器を持って立ち上がる。
美味い美味いといいながら、リュウセイは綺麗に完食してくれた。