箱土攻novel

□結婚しましょう
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僕の髪が肩までのびて
約束どおり、町の教会で
結婚しようよ…


もうすぐ春がお花畑の中を
散歩にくるよ
そしたら君はエクボを見せる
僕のために


僕は君を、さらいに来る
結婚しようよ…MMMM



結婚しようよ─…







「何の遊びだ?」

「もぅ、またそんなご冗談を」

「いや…さっきから冗談を言ってるの、テメェだろ?」

眉目秀麗が魅せる極上の微笑。
それとは相対的に、土方の頬が片側だけ引き吊る

「で、如何でしょう?」

「だから、何がだよ」

「僕、髪だって肩以上に伸びてるし」

「知らん。鬱陶しいなら切りゃアいいだろうが」

「僕じゃご不満ですか?」

不満も何も…
だから、何が?

と土方は質問しようと思ったが、この一癖ある美丈夫とは日頃からどうも話しが上手く噛み合わないから苦労する。
現に、こうして会話をしているだけで酷い頭痛に苛まれている

「銀が認める御方であり、尚且つこの僕に相応しい方となれば、この世に貴方以外どこ探しても見当たりません。銀は常々から大人らしく振る舞おうと必死なんでしょうが。やはり、まだ幼いあの子には両親共に揃っていた方が良いかと思うのですよ…ね?」

「…。ね?じゃねぇよ」

コトンと首を右に倒して満面の笑みを向けられる。
その背景に優美な牡丹が咲いている幻覚まで土方は見えてきた。

堪らず深く息を吐き出し痛む目頭へ指を宛がう

「僕は銀の為を思って真剣に考えてみたのです。だから、どうか土方先生にもご理解を頂きたくて…と言うか、寧ろ協力的に僕と結婚して下さいません?」

「いや…無理だから」

土方は今更だと思い全ての突っ込みを放棄して間欠に結論だけを言った


ときに自画自賛している処がたまに傷だが、確かに才色兼備と言う言葉が似合いのこの男。
そんな天女のような飛び切りの憂いを持つ男が、如何に銀をこよなく溺愛しているのかは土方も理解はした。
そして、その愛情の深さに此まで親代わりとなってきた土方としては、養子に出して良かったと安堵も出来る


だから、何故いまになって自分に協力しろと言い出したのか…
つーか、協力するにしろ何故そこでそんな話しに至るのか…

これ以上纏わり憑かれては堪ったもんじゃない。
土方は一旦落ち着こうと、机の上から飲み掛けだったカップを掬い上げる。

そろそろ己の堪忍袋の緒に限界を感じてきた

「本当に、お前さっきから何なの?」

「経緯はいま全てお話ししたではないですか。互いに、生活に困っている訳ではありませんから配偶者として申し分ありませんよ」

クスッともう一度鼻で笑って、ゆっくり机の上に座り土方の間近へ迫った

ギシッと椅子を軋ませ土方が後退れば距離を縮めた位置まで来て。
更に陶器のように白く細長い指先が頬に伸びてきた

「退けろ。俺も暇じゃねぇンだ、遊び相手は野村にしてもらえ。今日だけはどんなに暴れようが大目に見てやっから。な?」

「こんな時に他の奴の名を出すのは不粋ですねぇ…土方先生?」

「マジで、いい加減にしろよテメェ…」

「んー…僕は亭主関白も浮気も構いませんよ。ただ、取り敢えず早く既成事実を確立させたいので、今は静かにして下さいません?」

「……。」

「あ、家事全般と身の回りの世話は銀も鉄くんもしてくれるでしょう?なので僕は精一杯コッチで貴方に尽くしますね」




ぶちっ。








「うぁああああ─…っ!」

「先生!先生!!大丈夫ですか土方先生っ!?」

はっはっ、と短く息を切らして目を開く。
そこは無論、寝汗も冷ます北国蝦夷だ。
そして勿論のこと丁サだった

「先生、絶叫って…。それにメチャクチャ魘されていて、凄い汗ですよ」

「…あぁ…心配いらん。少し夢見が悪かっただけだ」

「朝ですが起きられます?」

「大丈夫だ。…それより、どうかしたか?朝っぱらからお前が来るなんざ珍しいな、銀」

「先生に会いたくて早起きしたんです。鉄は朝飯作ってますよ。義父…義母さん?と一緒に!」



「…………は?」


夢じゃねぇのかよ…。




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何だコレ(笑)
有名な昭和のフォークソングです。以前カラオケで母が歌ってました。



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