箱土攻novel

□愛し哀ましょう
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「痛ぃ、イ゙!…抜け―…」

「威勢はどうしました?」

「はぁ、ふあっ…あぁ!」

一旦引き抜かれた後に最奥を目掛けて捻り込まれた。
指より遥かに多い質量に、意識を手放しそうになる

しかし、中を柄が動く度に押し寄せる圧迫感や痛みに意識は引き戻され。
容赦のない動きに身体は不自然な痙攣ばかりを繰り返す

「うぁ、あっ、かす…が…ひああっ―…なッ!」

電撃のような刺激がビリビリと身体を一瞬だけ駆け巡った

「ココですね、悦い場所は…」

「ああっ、や、ンあぁ…!」

吹き飛びそうな意識を更に追い詰めるかのように痛みとは別なモノが襲い来る。
一点だけを擦る無機質な物体に、聞くに堪えない悲鳴を張り上げ。
下腹部の奥から浮上してくる欲を己ではどうする事も出来ない

「ますます美しい様ですよ。このまま、貴方を殺してしまいたいのは僕の方だ…」

「っ、や…抜けぇっ!」

短刀の柄を入るだけ蕾へ押し込めたまま春日は手を離し。
土方の耳朶を甘噛みして唇を寄せる


「手を掛けてでも貴方を手に入れたい。殺したい程にお慕い申していますよ…」

耳元で囁く声は艶めき土方の背筋に冷たいものがゾクっと流れた

そして、それだけを告げると春日は土方の目の前にあった一人掛けのソファーに座り、
土方を見据えて笑みを深める



「僕に服従して下さい」

「っ―…」

「死ぬまで、僕のモノになると誓って…そうすれば、貴方にも僕を差し上げる」

膝掛けに凭れて細い指先を口元に宛がえ。
花も綻ぶような微笑みは、やはり見惚れてしまうような程だ

「別に、公言する訳でも無いし。何をどうしろと言う訳でも有りませんけどね」

春日はそこで一段と媚笑を深めた

「僕が死ぬ時まで、貴方が生きてる限り、この関係を続けたい」

春日の言っている事を理解するのが漸くで、睨み付けるように見詰めていると。
ブーツをスルッと脱ぎ捨て、徐に細い爪先が土方の顔面に向けられる

「舐めて」

「なっ―…」

短く告げられた事に絶句は否めない。
底光りする眼は相変わらず、薄く歪む口元の春日を、土方は目を見張らせ見た

「誓いの証拠」

語尾を僅かに上げて愛らしくクスリと漏らす

優美で妖艶な姿は儚く、この世のモノとは思えない。
それが帯びる恐ろしい程の欲に艶めく雰囲気や激しい愛憎さが、更に春日の持つ容姿を引き立たせている

けして、これ以上の屈辱や恥辱を味わいたくは無い。
それでも、何かに取り憑かれたかのように口は否を唱える事が出来ないのだ


「ん―…」

口元に向けられていた足先へ恐る恐る舌を伸ばした。
先端から指の付け根まで準えると咥内に指を含む。
拡がった味は、けして嫌な気はしなかった。
高く組まれた脚は折れてしまいそうなくらい細長く、
うっすらとしか筋肉が付いていない

「ぐっ…」

「その調子で…とても良いですよ」

親指で中を掻き回され喉奥でえずく。
綴じられない唇の端から唾液が流れる

「んぅ!―…ぅ…ふ」

促されるまま舌を動かし。
歪む視界を僅かに上げると、眼を細めて快楽や優越感に浸る表情や肌蹴たシャツから覗く素肌に視覚までが煽られてゆく


「そのままで居て下さいね…」

ズボンに手を掛けると、土方の食わえていない方を抜き。
下衣を取り払うと大きく開き椅子の上で膝を曲げる。
土方の目前に、そそり立つ春日自身と、その更に奥の蕾まで曝された。
その蕾へ春日は己の唾液を乗せた指先を埋め。
直ぐに本数を増やしながら、激しく出し入れをする

「ん…はぁ―…堪らない」

口をだらしなく開き、霞んだ甘い声を漏らす。
いつの間にか夢中で指を嘗める土方の仕草は、春日を煽り立て行為をせがむ愛撫と化し。
後を柄で弄られていたお陰で、すっかり立ち上がった土方の自身に限界が近いのを知らせるよう反り返りながら蜜を滴らせた

「御可哀想に…苦しそうで―…」

嘲笑う春日の言う通り、痛い程に膨張する自身は野放しにされたままだ

脚を引き。椅子を降りた春日は、突き刺さったままの短刀へ手を伸ばした。

「あ゙あ゙あぁっ―…春日ぁ…かすっ…」

グリッと反転させられた柄の刺激で背筋を反らす。
知ったばかりの快楽の吹き溜まりであるソコは抗議の声さえも喘ぎに変えてしまう

春日は知っててやっているのか、後少しでも決定的な刺激を受ければ果ててしまう寸前を保っている

「ねぇ、僕が欲しいと思いません?」

「いら、ね―…」

「いま、僕の脚を舐めていたばかりなのに。強情な人だなぁ…イカせてあげないですよ?」

ズリッと勢い良く短刀が引き抜かれ、か細く土方が声を挙げる。
後方の刺激も無くなってしまい、僅かに虚無感を抱いてしまった

「僕は欲しいんだど、貴方は上司でしょ?命令して下さい」

「っあァ―…」

体勢を起こされ座り込んだ途端、つッと指先が張り詰める自身の裏筋を準え権ごと土方は身震いする。
それが指先だけで無かったら、土方は解放されるだろう

上司と敬う者への愚行を許せる訳がない。
だが、それとは裏腹に土方は、やはり春日の眼を見て頸を振るう事は叶わなかった

「…―せ、テメェを寄越せ…」

「良く言えました」

縋るような眼を見据え、唇を啄むようキスを落とすと土方の上へ乗り上げ。
双丘を自ら左右に割ると、中心に土方自身を合わせる

「仰せのままに―…」

そう囁いた瞬間、春日は腰を降ろし。
一思いに土方自身を呑み込んだ

「は、ああぁん―…」

「っぐぅ…!」

「はぅ―…熱ィ…」

轟く内壁に包み困れた時、土方は瞬時に果て飛沫が春日の中で波瀬てしまった

「ンっ、凄く硬い…まだ大きいや―…」

虚ろな瞳へ、頼り無く眉を崩す土方が移り込む。
土方の蜜で熱さを増した結合部の揉み扱くような動きの良さや、長く艶々とした漆黒の髪を振り乱す姿に、
従って辿り着いた事へ悦びまで抱いてしまいそうだ

そんな自分に激しく動揺しながらも、春日の内壁に苛まれ。
恥態を曝し腰を捻らせ始めた所為で、土方自身は直ぐ様に反応を示す


「っ…春日―…」

「ぁん―…」

視点も合わない程の場所にある胸板へ唇を這わすと、ブルッと折れそうな腰が軋むのを感じた


「もっとッ…んん、はぁ…もっと僕に悳んで下さ―…」

「つッ…」

春日は己のペースだけで気が狂ったよう腰を蠢かせ。
ギリッと縄が食い込んだ土方の手首から血が滲む。
背を反らして動く度に、いま吐き出されたばかりの蜜が内壁の隙間から粟と化して卑猥な音を奏でつつ漏れてきた。

その時、キツく縛られていた筈の縄が緩み。
土方の手が春日の双丘を左右の掌で包み込んだ

「っちょ…そこ、ひぁ!?」

「はっ、く―…」

ズグッと挿入れが深まる。
腰を鷲掴みにされた途端、力任せに揺さ振られ。
思わず春日は土方の肩に凭れた

「っや、すごイ…あぁあ―…――イぁアアああっ!」

「ふっ、あ―…」

二人の間にあった春日自身が飛沫を挙げて、甲高い喜声と共に噴き出す。
それでも土方の律動は止まず、春日の名を唸るように口にし。
最奥を一気に突き上げた瞬間、欲を直腸目掛けて注ぎ入れた

「んんッ―…」

「か…すが―…」

指先まで身体を硬直させ全てを呑み込んでも、春日は直ぐに歪んだ笑みを浮かばせ。そ
れを、正気を遷していない土方の眼が見据えた

「…―春日」

「お気に召すままに…どうぞ」

頬を両の手で押さえると唇を合わせる。すると、噛むような勢いで土方の方から仕掛けられた。
それに驚く事もせず春日は応え。唇が離れた次には、まるで獣のような荒々しい土方の吐息が、春日の首筋を這い回る。
どちらとも言えない雄の臭いを身に纏い。
春日は口元に三日月を浮かべ、酷く美しく歪んだ顔で首元を探る土方の頸を愛しそうに胸元で抱き締め、


「可愛い人―…」











「うぁああああ─…っ!」

「先生!先生!!大丈夫ですか土方先生っ!?」

はっはっ、と短く息を切らして目を開く。
そこは無論、寝汗も冷ます北国蝦夷。そして、勿論のこと丁サである。

「先生、絶叫って…。また何かメチャクチャ魘されてましたよ」

何事かと、目を丸々とさせ土方の顔を覗き込んできたのは市村だ。
土方は上体を起こし。頬に滴ってきた汗を手の甲で拭った。

「…心配いらん。かなり、夢見が悪かっただけだ…」

「朝ですが、もう少し休んだほうが…」


「いや。…それより、春日とか、来てねぇ…よな?」

「え?」


市村はキョトンと小首を傾げて、笑い。

「もー、何を言ってんですか先生」

と言うから土方は、やはり自分が見た余りにもリアルで、過激すぎる夢の所為で頭が未だ混乱していると思った。のは、土方の浅はかな期待にしか過ぎなかった



「居るにきまってるじゃないですか。一緒に住んでるんだし」





「…………は?」


夢じゃねぇえってか…!?






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裏館にて公開してたのを加筆しました。
オチを変えただけですね。そして軽くホラーになった(笑)



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