箱土攻novel

□愛し哀ましょう
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 ※…異物使用/SM/土受要素



何処でどうしたのか覚えていない…いや、ズキズキと軋む頭の動きは鈍く。
今は何かを考えられる程の気力がなかった。

薄暗く気味の悪い室内。
ヒヤリと冷たい地面に土方は膝を付け、後ろ手を縛られている。
身に纏うモノは、切り裂かれたようなシャツだけ。
それも漸く形が分かる程度で、土方の腕に布切れが引っ掛かっていると言った方がいい。
白い肌が露になる部分に、冷え込む空気が付き添い。
冷たい地面が、土方の白雪のような肌に直接当たっていた

しかし、それよりも下腹部に何も纏っていない事に酷い羞恥を覚えるのだ

「あまり動かない方が良いですよ。埃が付いてしまいますから…」

クスッと鼻に掛かった笑い声。クイッと顎を細く品やかな指に掬われた

「ッ―…お前…」

「その、驚きと羞恥が混ざった顔も素敵ですよ。土方先生」

視線が合わさった場所には悪寒すらも過るような涼し気で美しく、牡丹のように優美で艶やかな顏を緩ませる春日が居る。
長い睫に象られる欲で鈍く光る眼に、この国でも名高い見事な綺麗さが相俟って恐ろしい程だ

「貴方に逢うまで、僕より美しい人間に出逢った事が無かったんですよ。そんなのも居ないって思ってたけど…もっと昔に、例えば江戸に居た頃に貴方の存在を気付けなかったのは、最大の汚点かな」

冗談めいた言葉で笑っているのは口先と声だけだ。
その視線だけは、土方を見据えて離さない

「この僕に見合うくらいの綺麗な人と、漸く出逢えて嬉しく思います」

目尻を下げて、ほぅと見惚れたような顔で微笑む。
顎に添える指先を頬へ流し、土方の唇と自分のを静かに重ね合わせた

「…ッ、ふ―…」

息の掛かった声が、虫の息程に漏れる。
眉を潜めた土方の顔を薄目で見ながら、咥内を掻き乱すよう舌をくねらせた。
歯並びを準え春日の方へ促された舌を軽く噛まれる。
その時、フと土方が春日の口端を噛み切った

「っ…まったく、噛み付くなんて獣みたいな方だな」

「このかた躾なんざ、されちゃいねぇからよ…」

「それもまた面白い…」

唇から流れた赤々しい血を、舌舐め擦りする春日の仕草が妖艷に映える

思わず土方が息を呑んだ瞬間、漆黒の髪が鷲掴みされ。グッと乱暴に上を向かされた

「誰にも汚されていない貴方を、捻伏せる楽しみが倍増だ」

髪の毛が引き千切られそうな強さで持たれる反対側で、ヒタリと冷たい短刀が頬に宛がわれる

「ッ…」

「体に傷は付けませんよ。そんな勿体無い事は出来ませんからね」

「てめ、ぇ―…」

「まだ啖呵を切りますか。その気高さが、愛しいですけどね…」

刀の切っ先が皮膚一枚に触れる程度の動きで、舐めるように鎖骨や胸板へ滑り降りて行く

「止めろっ―…やめ…」

鳥肌が立つような動きに身震いをさせ。
抗議の声は、春日に再び鬱がれた咥内へ吸い込まれる

「ン―…もっと…」

喉元へ刃物がピタリと付くまま、甘くせがむ春日の思う通りに角度を互い違いに変えては貪るような口付けは続く。

唾液が一筋、土方の喉を伝い落ちた

「少しは…その気になりました…?」

「…ッ」

綺麗な微笑みを浮かべる視線は土方の下腹部に行き。
言われて気付いた事実に眉間に皺を寄せ押し黙っている時、
ブーツを履く脚で土方自身がコツンと指摘するよう突つかれる

「口を割りませんか?…コレでも」

「ぐあ゙ぁっ!!」

ブーツで自身を踏まれた瞬間、土方の喉が引き吊った。
体制が崩れ、身体が強張ったせいで腕を縛る縄が腕に食い込む。
靴底のザラザラと堅い感触や、踏まれている事実からくる恐怖に呼吸が上がる

「や―…なせ…、離せ」

「強情さは、流石ですね」

「ひィっ、あ゙あ゙…潰れちま―…」

力を加えられた爪先だけでグリグリと擦られ、悲鳴が口を告ぐ。
それと一緒に、春日の含み笑いが部屋を包んだ。

痛みと恐怖で萎えるかと思われた性器は赤く色を帯び形を変え始める

「ふふ―…気持ちイイでしょう?」

屈辱にも増す踏み潰されそうな恐怖で土方は頸を振るう

「いや…イ、痛ぇ―…」

「此方は、言っている事とは違いますよ。…硬くして」

煽る言葉を否定する事も、縛られる手で遮る事も出来ずに身体が火照り始める

「はっ、あ…止めて、くれ―…」

「そうですか?止めてしまう方が可哀想かな…」

呼吸は忙しなく虚ろな意識で見上げた春日の顔は、
やはり絶世の優美な顔で微笑を浮かべ。
大きく外されている釦の隙間から細く生白い身体や突起を見え隠れさせる

土方は傷む中で、満足気に見下す眼を見据えている合間、
知らぬ間に自身から蜜が滲み出す

「ほら、物足りなさそうに我慢汁まで溢れて来た」

「言う…な…」

「気持ちイイって言ったら、イカせて差し上げますよ。先生―…」

「あ゙ぁ!やめぇ…は、いああぁ……」

グリッと強く踏まれ、先走りにしては量の多い蜜が溢れ出た。
そのまま、先端を弄られれば容易く果ててしまうだろう。
早く言わなければ本当に潰れてしまうか。
それより早く、下腹部を痺れさせる感覚から解放されたかった

「…―ぃ、イイ―…気持ちい―…」

声は酷く掠れ、荒々しい息に邪魔されながら口に出す

「イカせて欲しい?」

一つ頷いた時、春日の口元は笑みを深めた

「では、踏まれたままどうぞ」

「あっ、あああああ―…!!」

ブーツの底と床に挟まれた自身が痙攣を繰り返し、床に白い飛沫を撒き散らす

簡単に言われた通り土方は欲を溢れさせ、それが内股を伝い落ちてゆく。
春日は喉を鳴らして、息を乱す土方に魅入っていた



もう土方の理性は自尊心すらも危うい。
強烈な浮遊感や解放感に満ちた意識は空間をさ迷った

「これで満足した、とは言わせませんよ…」

漸く靴底を引き上げたかと思えば、土方の喉元に宛がわれていた短刀の柄を赤い舌で準えている。
その伸びた赤い舌に、思わず目が釘付けにされていた

しかし手を縛られているせいで呼吸で揺れる肩で支えているだけの状態の突き上げた後方に、短刀が向けられ我に還って身を強張らせる

「安心して。…傷はつけないと言いましたでしょう」

その自棄に優しい口調に悪寒が走る。
身を内震わせている最中、徐に床の白濁を掬い上げた指先が双丘を割って中心の密部に突き刺された

「ひぅ!…や、入れン…な」

蜜を擦り付けるよう内壁を蠢き、数度突き入れを繰り返した指先は本数を増して出入りを始める

「力を抜かないと痛いですよ?…まぁ、痛いのが御好きなら別ですが…」

「っあ゙…あぁ―…」

春日の声も耳には届かない。初めて味わう菊座からの刺激に、目尻に熱いものが浮かび上がった。
自分の中に、指と言う異物が埋め込まれている。
それだけで、土方は吐き気までしそうだ

「貴方のモノを戻してあげてるのに、また感じてる…」

蕾を押し開く指先の感覚に身悶えながら、解放したばかりの自身は再び存在を露にし始めている。
クスクスと微笑む春日の声色に、土方は唇が切れそうな程に歯を立てた

「殺されてぇ、か…てめ―…」

キリッと射抜くような視線が向けられるが、春日はそれでも笑みは絶さず。
指をズルッと引き抜いて、粘着質な蜜を舌先で拭う

「それも良い…どうせこの地で死ぬのなら、貴方に斬られて死ぬのも本望かもしれませんねぇ―…でも、今の状況で強気な発言は説得力に掛ける」

「ぃあぁああぁあ―…!!!!!」

言い終わるか終らない瀬戸際、土方の密部に刀の柄が無情にも食い込んだ




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