Paordy-novel

□La mort du petit chevalA
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煌々と明かりの付いた部屋に淫縻な音が響いている。

『あん……やぁっ…』

鼻に掛かった甘ったるい嬌声は画面いっぱいに映し出されている女の声。
男の無骨な指が豊満な白い胸を鷲掴み、柔らかさを楽しむように食い込ませるたび、身をくねらせ女は鳴く


「この女優ヘタじゃね?」

ブラウン管の中で身悶えるその人を見て野村がぽつり溢す。
中島の野郎と小さく溜め息を吐き、親指の腹でその下にある粒を撫でた。

「ひぅっ!…ッ…んっ…」

途端、中に埋め込んだモノがきゅっと締め付けられ。野村の口元がニヤリといやらしく歪む。
丹念に時間をかけて解したソコは既にとろける程に熱く、今にもコチラが飲み込まれそうな程。

「イイな…相馬」

「はぁっ、あ…あぁっ!」

しみじみと直に響いた声を噛み締めながら肉壁を擦り上げるように腰を動かせば、組み敷いた体が大きく震えた。それと一緒にカシャカシャと鳴る腕の手錠。
一度吐き出させているソレは野村の眼下で、もう抑えきれないと絶えず涙を流している。

『あぁぁ!やぁっ、あっ、あっ』

「おっと……なぁ、相馬も、もっと欲しいんじゃねぇの?」

ふいに大きく響いた甲高い声に画面を見やれば、男に貫かれた女が白いシーツを乱しながら悩ましげな表情を浮かべていた。
それには何も感じなかったが、こんな風に乱れた相馬を思ったら…。

「っく……るっさい…!」

「ったく素直じゃねぇ…」

先程から、緩く、浅いところでしか野村は動いていない。わざと焦らし、相馬が自ら求めてくるのを待っているのだ、この男は。

『あぁっ!ん、はぁ、もっとぉ、もっとしてぇっ!!』

奇しくも野村が待っている言葉は、いかにもな口振りで女が叫ぶように喘ぐ。

「オラ、相馬も言ってみろよ同じこと」

「ッ…!……のヤロっ!」


べちんっ。

視線を淫らな画面から相馬へ向けたその瞬間、野村は両頬を勢い良く両手で挟まれた。
あまりの激しい衝撃を受け痛みに上げようとした野村の声は、そのまま強く引き寄せられた相馬の震える口唇に、呆気なく吸い取られてしまう。


「………へっ…?」

「んっ…っ、お前は、俺だけ見てればいいんだよっ!余所見してんなバカっ」

「っ…おまっ、」

「んぁっ!?…あっ…バッ…!…でっかくすんなっ!!」

質量を増した野村へ、涙目の相馬が顔を真っ赤に染めて罵声を飛ばす。
ただでさえ今の状況が苦しいのに相馬としては堪ったものではない。

「もっ…さっさと動け!!コレも早く外せよっ」

「…主計ちゃん、もう少し色気のある言い方出来ねぇのかよ」

「うっさいバカ!…っ、うぁっ!あ、ヤッ…ん」

咎めるように突き上げれば罵声は嬌声にすり変わる。
まぁ、相馬らしいといえば相馬らしい誘い文句だから仕方がない。
そして野村は、焦らしても押してもダメなら押し倒す主義だ。


煩いテレビは消して。握り合うのも儘ならない邪魔な手枷は外して。
部屋には二人分の吐息が満ちる。夜はまだまだ。
長そうだ…。








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