Paordy-novel

□So it turned out
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この度ようやく、慌ただしかった俺の誕生日の穴埋めとして温泉旅行へ行く事になった。
温泉旅行は俺達2人にとってこの上無く都合が良い。
勿論、風呂が好きな俺だが、榎本さんは風呂上がりの酒に目が無く。水が綺麗な場所の地酒は大抵が旨いからだ。
しかし、温泉があれば何処でも良いと言う訳じゃなく


「えーっ、絶対に海だよ。海の見えるトコがいい」

「この時期は山だろ?山のほうが涼しいじゃねぇか。それに、アンタ海水浴場に連れてくとナンパが煩ぇ」

「それはコッチの台詞ですー。キミが目立つんだよ。だから海が見えたらそれでいいんだけど…あ、圭介!圭介はどっちに行けばいいと思う?」

「間を取って川はどうだ?そんで、滝行でもして日頃から不純な2人の身を清めてくるんやな。どーせ温泉旅行だって酒飲んで風呂入って不純な行為しまくるだけなんだろ?どっちでもいいじゃないか。僕に聞くなよなー…ったくぐふぉっ!ちょ土方くん!?痛いっ!痛い痛い!殴るなよっ…!暴力反対いぃいい─!!」





そんな訳で、川の傍にある温泉街を選んだ。
しかし言うまでもなく滝行なんざしない。ただ温泉へ入りに来たんだ。

その途中、幾ら休暇と言えども管理職だからか、上着の胸元で携帯が鳴り続け。
仕方無く出て手短に用件を済ませ。ギャンギャン喚く野村の声を強引に途絶え。俺はブツリと電源を切った電話を榎本さんに渡して、またハンドルを握った。
携帯が鳴る度に浮かない顔をしていたのも気付いていたし。電源を切った途端に一瞬、驚いたようだが、顔が綻んだのも俺は見逃さなかった。
ただ口だけは可愛気ねぇ事に、運転しながら携帯で話すのは止めろと、何度も聞かされるのを受け流しつつ、途中で酒屋に寄り、地酒や何やら肴も買い込み。
目的の場所に辿り着いた。
川なら良い旅館がある。と大鳥さんが予約をした場所だ。
アレでも趣味の良いあの人が太鼓判を押すだけはある、雰囲気の整ったなかなか立派な宿で、
俺たちは出迎えられた女中に従って部屋に入った。




川の細流が絶えず聞こえ、青緑の景色も清々しい基本は和室。
ただ、寝室は別でベットになっている。それは榎本さんの好みに合わせてだ。
因みに、しっかり豪勢な誂えの部屋風呂も完備されている。そこは、俺が事前に大鳥さんへ注文していた所だ。

榎本さんは暫く窓からの眺めを満足した様に見ながら早々に一献やっていたものの、直ぐに俺の方に振り返った。
満面の笑みで。


「風呂、行こー!」


部屋に付いてんのに。
大浴場も入りたい。とせがまれて、一緒に出向き。

そして、

裸にタオル一枚とは、中々の眺めだ。
頻繁に見ているとは言え、場の違いは何故か見方も変わって来るらしい。

引き締まった身体に、細い腰つき。
洗い髪が濡れて頬に張付いている姿は、情時揺さぶっているのと同様に見えて、とてつもなく色を含んでいる。故に、


他の奴に見せたくねぇ。


コレだから海水浴も許せねぇし。部屋風呂付きの場所と頼んだ訳だ。

湯船に浸かり月明りなんかを眺めながら、徐々に火照っていくのを横目に、
己のどうしようも無い嫉妬心に、半ば呆れるものを感じつつ。

俺は辺りが薄暗いのをいい事に、岩陰に連れ込んで唇を奪った。


「ココ、居心地は良いが、まだベットの寝心地は確かめてねぇだろ?」


これ以上の事を此所でされたくなかったら。

早く出るぞ。と



あぁ、風呂に入る前に部屋で二合は呑んでいたからか、湯に当たったのか、
真赤になったのを見て俺は笑った。







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結局、不純行為に走る2人(笑)
いや、自分が滝行でもして煩悩を流して来いって話ですね。
少しでも涼しげな物を書きたかったのに見事撃沈しました。

川の近くの温泉⇒湯の川
(笑)言ってみただけです。




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