箱館他CP

□総裁ゲーム
1ページ/6ページ

榎本主催の忘年会が開催された。
と言うか、酒さえ呑めれば新年会だろうが忘年会だろうが、どうでもいい。
宴会をすると気紛れで言い出した榎本に、
忘年会だと松平が補足し、政府の行事として認められた



「総裁だぁ〜れだ!」

合コンの様なノリで榎本が叫ぶ。
手に持つのは一枚の紙。
そこにはお馴染みのマークと数字が書かれている

「ハイハイ!俺だァ」

名乗りを挙げたのは伊庭。手に持つカードには悪魔の様な絵が書いてある

これは、西洋のカルタ…トランプを使って榎本に編み出されたゲームだった

スペード13枚のカードにジョーカーを交ぜ、ジョーカーを選んだ者が総裁となり数字を指定し、
指定された数字のカードを持つ者は総裁となった者の命令を聞かなければならない。

王様ゲームもとい総裁ゲームである

「そんじゃあ…7の人がこのボトル一気飲み」

「え〜。それズルい!私が飲む!」

「榎本さん、それじゃ意味無いさね」

このゲームに嬉々として参加した伊庭はボトルを掲げる。
ゲームの流れ的に手始めはそんな処が妥当だろう

「そんで7の人は?」

7ではない榎本の希望を無視して、伊庭は辺りを見回す

「僕は6だ。土方君は……あ」

「ッ下らねぇ!付き合ってられっか!!」

「まさか歳さんが7かぇ?」

強制的に伊庭にゲームへ引き摺り込まれた土方が勢い良く立ち上がった

「よりにもよって君か。さすが悪運が強いというか…」

参加者の中で唯一、下戸の土方が当たるとは…
大鳥は土方の悪運の強さに改めて感服した

「逃げるのか?」

「!」

静にグラスを傾ける松平の声に土方の眉がピクッと動く

「俺に悪気は無かったンだぜ歳さん」

伊庭は土方に耳打ちした

「もし、このゲームで総裁に何かあったらどうするよ。ここは落ち着いてさァ」

現代意訳で言えば、あわよくば榎本とポッキーゲーム何て事になりかねない。
それはゲームに参加する誰でもチャンスはあるのだ。
それを阻止するなり、何なりするならば逃げる事は許されない


「総裁の命に背くのか?」

松平は満足そうに微笑する

「…覚えてろよ伊庭…」

「そりゃないよ歳さん!俺は悪くねぇ!」

伊庭を見る土方の目は、長年の親友を見る目ではなかった

ボトルを鷲掴みグイ飲み。中身の琥珀色の洋酒が次々と飲み干されてゆく

「大丈夫?」

「っ…うるせぇ…」

全てを飲み終え。
気遣う榎本の手を跳ね避けた土方は濃い青筋を浮かべ、かなり千鳥足だ
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ