箱館他CP

□C'est la que git le lievre.
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松平は本の序章を読んでから、パラパラ頁を捲って結末を読んだ。
何してんのお前、大鳥が、松平の行動を不思議に思って訊ねると、松平は言った

結末を読む前に死んでしまうといけないからと。
将来に希望を見い出さない言葉に大鳥は不愉快になった。
それが何もない平凡な生活の内に言われたのなら、そうかいと一言返すだけだろうが、
戦の面でそう言われてしまったら、こいつは死ぬ気なのかと腹が立った。
死の局面にいるのだから、松平がそう言うのも仕方がないが、なんだか面白くなかった。

「結末よりも、過程が大事だろ」

「でも、まとわり付くのはいつも結果や結末だ」

それが現実でも作り話でも。松平は言ってまた本の最後を読み始めた。
ああそう別にいいけどねと大鳥はベットに寝転んだ。

「人生は必ず死で終わる。俺もお前もよく知ってるだろ。お前はそれに満足してるのか?それじゃ意味ない。結末が決まっている中でも、どうやって生きるかが重要なのに」

丸まる大鳥の背中を、松平はじっと見つめた。







C'est la que git le lievre.
(つまり問題はそこ)






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