箱館他CP

□まるで猫と犬
2ページ/3ページ


「めざしが残ってた」

「あっそ」

「?」

何はともあれ、源吾は骨を取り小さく食べやすい様にした魚を源吉に、嬉しそうに食べさせている

源吉ばっかに構っきり。

猫の特権だよな、源吾の膝の上で幸せそうにしやがってよ



って俺、猫に嫉妬してるし。でも、俺には愛想悪いくせしやがってさ、源吾もなついてんの嬉しそうだし。ムカつくだろ


「源吾〜。俺にも食わせて」

「さっき晩飯食べただろ。猫の餌まで取るなよ」

まぁそうだけど。

源吾の手から俺も食べさせて欲しい!ってか、俺も源吾に甘えたい!!


俺はベッドに腰掛けたまま源吾に擦り寄った

「猫に嫉妬すんな。ウザイ」

「一口だけ!」

「………;」

口を開けた俺に源吾は魚を一口、放り込んでくれた

「気が済んだか?;」

「めっちゃ旨い!」

「アホ。いつも食ってんのと一緒だ」

「源吾が食わせてくれんのってだけで違うんだぞ!」

ただのメザシだけど、マジで源吾からってのだけでいつもと違う味がするんだよ。アホじゃねぇ!俺は幸せ者だ!

「単純なヤツ」

口では憎まれっ子だが、源吾の顔はほんのり赤い。

照れてるところも可愛いんだよなぁ〜!可愛いとしか言いようがねぇんだよ!

「もぅソイツなんかほっとこうぜ」

今ならイケる!と思った俺は源吾を後から抱き締め首元に顔を埋めた

「死ね!」

「グハッ!…」

源吾の怒鳴り声と共に腹に肘打ちをされ、余りの苦しさに俺は疼くまった

「源吉がいるだろ」

「猫なんかに分かんねぇって。それに源吉にも源吾は俺のモノだって見せ付けとかないとよ」

「やっ―…」

「いってェー…!!」

源吾を後から抱き締めていた手に突然痛みが走った

「源吉!?;」

源吾が慌てて俺の手に小さな牙で噛み付いている源吉を放してくれた

「このクソ猫!;」

《にゃん》

俺の源吾との甘い夜を邪魔する気だ!

「どうにかしろよ源吾〜」

「噛まれたくなかったら変な事を考えるな」

源吾は源吉を盾に笑う

その笑顔がまた犯罪的に可愛いんだよ!!


当分これじゃ甘い夜はお預けだ。余りのショックのデカサに俺は脱力した。



「磐吉、犬みたいだな」

「は?」

何か楽しそうに笑ってるけど、俺が犬?

「いつも吠えるところとか、犬って主人が他の動物を可愛いがったりすると妬くらしいし。猫と喧嘩してよ」

なら俺の飼い主は源吾か?虚しいが主導権は常に握られてる…。

「なら尻尾振ってる俺を見捨てるのかよ!」

尻尾なんか勿論無いが、あったら振ってるぞ!

「主人に噛み付くなんて、躾がなってないからなお前は」

そりゃ源吾を食べちまいたいほど愛してっからだ!

「まずガッ付く癖を直せよ」

珍しく満面の笑みの源吾に俺は見惚れてしまった

そんな顔すっから俺はいつも歯止めが効かないんだよ!

とは黙っとく。源吉に噛まれんのは嫌だからな



「今度から気を付けます」

「ならいい。もう寝るから出てけよ」

「はぁ!?一緒に寝んのもダメってか!!」

「だからお前、すぐ変な事するだろ」

確かにそうだ。隣に源吾が居て我慢出来るわけないだろ!

でも今日は源吉もいるし、大人しくしとくか…な。

「わかったっての。おやすみ」

「じゃあな」

俺は溜め息をついて部屋を出た。源吾の嬉しそうな顔が悲しい…



俺がもし犬なら、源吾を好きだと四六時中きっと尻尾を振っている

源吾も猫みたいだ、俺を見上げる顔は吊り目で小柄で、気紛れに可愛い顔しやがって俺を振り回すんだ

なついてると思い捕まえようとすれば逃げられる


まるで鎖に繋がれた犬の前を平然と横切る猫


俺は猫が気紛れに振り向くのをずっと待つ犬








「磐吉、もう寝たか?」

「え?…源吾?」

着替え終わりベッドに入り込んだら部屋の前から源吾の声がした。

「どうした?」

扉を開くとやっぱり源吾が立っていた

「榎本さんが源吉を気に入ったらしくて、預けて来た」

「榎本さんが?」

「昼間の礼も忘れてた…入って、いいか…?」

「勿論、いいに決まってんだろ」



今日は吠え続けてやっと振り向いてくれた



明日もきっと俺は




源吾を好きだと尻尾を振る








源吉の行方(土×榎)→


●●
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ