箱館他CP

□狗は悦び庭駆け廻る
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馬鹿は風邪引かないんじゃなかったのか?
相馬は大きく溜め息を吐いた


「野村の場合は、馬鹿だから風邪引くンじゃねぇか?こんな真冬によくも薄着で…馬鹿だな本当に」

「…そうですね」

机で書類に目を通す土方は、報告に来た相馬に目もくれず言い放った

「そう言う事なので今日は台場で休ませます」

相馬は再びハァと溜め息を放った

蝦夷の大雪を前に浮かれて、犬の様に台場や奉行所を駆け回る野村が幾度も目撃されていた。
懲りもせず飽きもせず、暑くなるからと薄着で走り回る内に、
遂に…と言うか当然、風邪で寝込んでしまった訳だ


「分かった。どうせアイツなら1日もすりゃケロっと治るぜ」

少なからず心配している相馬と違い、土方はこの話題をクククと笑い飛ばす。

確かに野村の免疫力は人間離れしたものであるのは知るところだが、
高熱で唸る野村を見捨ててはいられないのが相馬主計と言う男

「ほっとけば野村も懲りるだろう」

「はぁ…」

だが、いつも面倒を見ているせいか気になる。
そんな相馬は野村の公認の保護者と認められる由縁なのかもしれない

「失礼します」

軽く会釈をして大野が部屋に顔を出した

「丁度良い。これ大鳥さんに頼む」

と土方は今しがた手にしていた書類を大野に差し出したのを見て、
相馬が前へ出る

「それは私が…」


「台場に戻ンねぇのか?野村が待ってンぞ」

ほっとけと口では言うが、
土方は元からそのつもりで相馬の話を聴いていたのだ

「あ、ありがとうございます」

それを快く受け取り、手短に挨拶をすると相馬は足早に部屋を出て行った。
相馬にしては少し慌てた様子に大野が首を傾げる

「どうしました?」

「野村が風邪で寝込んだらしいな」

「ああ、それで。じゃあ今日はこっちは静かですね」

ククっと小さく大野が苦笑した


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