榎本他CP

□Pas si bete
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窓から入り込む柔らかな風にウトウトして、気づけば時間が過ぎていた。いつの間にかソファーで転た寝してたみたい。
知らず、読みかけだった本はしおりが挟まされテーブルに置かれていて。更に、体をすっぽり包むふわふわのブランケット。誰だろう、なんて事は考えるまでも無い。

ふぁと小さく一つ欠伸をして瞼を数回瞬かせ。
ゆっくり開けた目に入る窓の向こう側は、もう茜色。少し薄暗い部屋の中がランプの灯りに加えて橙としていた。
ブランケット一枚でも寒くなかったのはソファーの脇に置かれている火鉢は微小ながらも火気を保っているからで。それも多分と考えてる中に、何処からともなく夕飯の匂いがしてきて思わず腹も鳴る。
きっと、もうそろそろ彼が「夕食ですよ。」と起こしにくるはず。
耳を澄ませば扉の向こう側が賑やかだ。あぁ、きっともう直ぐ起こしにくる。

またソファーに寝転んで、ブランケットを被り直した。そのまま目を閉じる、と直後に近づいてくる革靴の堅い音。次いで静かに扉が開かれる音。
なんだか悪戯してる子供みたいな気分になって。口許が緩んだけど、そこはブランケットで隠した。
それから真横のテーブルに食器がセットされていく音なんかもブランケットの下で息を飲みながら聞き。
ワインのコルクが抜けた音には、こっそり唾を飲み込む。


「総裁」

肩を揺すられ、覚醒を促された。だけどちょっとした好奇心でゴネるふりをする


「んー」

「おや、そんな無防備で。襲いますよ?」

フフ、と穏やかな笑い声にバカと反論しそうになるけど自分はまだ寝てる設定だ。うん。そう、寝てる設定だから。


「タロ…さ…」

寝返りをうって、そして、
私の顔を覗き込んでいた彼の首に腕を巻きつけ引き寄せる。一度は薄く開いた目を再び瞑った。

「榎本さん…」

気配が凄く近付く。たぶんキスしようとしてる、その寸前。目覚めてやった


「…ご飯、食べよ。」

俄に切れ長な双眸がくるっと丸まったのを見て、ぱっと腕を放した。
悪戯が上手くいったと笑いつつ起き上がり。取り合えずよく寝た。ともう一回腕を上に向け伸びをしていると、突然、唇に柔い物がぶっかった。
伸びていた拍子に閉じていた瞼をパッと開いたとき既に、ちゅぅっと恥ずかしい音が鳴り。ソレはゆっくり放れていった。
今度は自分が驚く番だった。さっきの彼と同じ顔になる。
そして始めから笑ってたでしょう。気付いてましたよ。と憎たらしい事を言い。
憎たらしいほど綺麗な顔の目を逆さ三日月に細めながら相変わらずの穏やかさで笑われた。

「寝ていようが起きていようが、したい時にさせてもらいますよ」

貴方は無防備だから幾らでも隙がある。と耳元に吹きかけられた一言。
悔しいやら恥ずかしいやらで、一瞬で体温が上がった


「さて、呑もう。」








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ブランケットって言う言葉にお洒落さを感じました。ブランケットって言って(出して)みたかっただけです。
なのでブランケットって乱用してみました。




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