黒×榎novel

□金平糖
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極端なギャップと言えばいいのだろうか。
そのガタイが大きいからかもしれない。
了介は、まぁまぁ顔はいいと思うけど見る人によっては怖いような印象でいつも損している。
かと言って、厳し過ぎる訳でも怖いわけでもないし。結構慕われたりする人物。
酒癖は凄く良くないけど、生真面目な奴で、ひっくるめたらいい男。


「あい。オイはいらんから、食いやんせ」

了介は口の中へ運ぼうとしていた団子を、少し脅えてじっとこっちを見ていた孤児にあげた。
やっぱり見掛けに脅えてただろうその孤児は、了介の顔に途端に安堵したように、嬉しそうに笑みを返してきた。
それに了介は気をよくしてか皿ごと渡してしまった。
団子が食べたいと言って誘ったのは了介なのに、結局サービスで出てきたお茶だけになる。
私もまだ団子は口にしていないのに。まぁ買ったのは了介だし、いいんだけど。

「喜んでたね」

「すまん。まだ榎本さぁも食うてなかったんに、つい」

「んーん、いいよ」

「今そこの店で何か買って来もす。金平糖とか」

「なんで金平糖?」

「可愛ええじゃろう金平糖」

自分にはなんだかよく分からないけど、了介は席を立ち、側にある店の中へ入っていった。
お茶を啜りながら待ってると、了介は直ぐ戻ってきた。やはり手には袋に入った金平糖が掴まれている。
本当に金平糖だけ買ってきたんだ。

「大鳥先生には内緒」

「圭介にあげようかな」

あう、と変な声が返ってきた。いい男だなと思った。酒癖は良くないけど。
袋を開けて一粒だけ口に入れた。
トゲトゲした見た目とか、硬いくせに甘いとことか、了介にそっくり。









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