土×榎novel-SS

□美味しく召し上がれ
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所々で山桜が咲き始めた五月の今日は端午の節句。
他でも無い土方の誕生日だ

榎本は数日前から、この日は土方を独占したく。
職権を(乱)用し、非番にさせようと(主に榎本から頼まれた大鳥が)奮闘した

そのかいあってか見事に榎本は土方と約束を取り付けたのだが、
古来の日本では個人の生まれた月日を祝う風習がまだ無い

土方はこの日に拘る榎本に一応意味合いを聞き。
又しても始まった榎本の欧米かぶれ振りに悪態を付きながらも、
榎本と過ごすこと事態は嫌な気はしないので付き合う事にしたのだ





「…で、何をすンだ?」

「少し座ってて」

快晴拡がる朝の一番で榎本の私宅に呼ばれた土方。
物凄く楽し気に鼻歌まで鳴らし。先程から厨へ入り浸っている榎本を、言われた通り居間のソファーから眺める

土方は未だにこの誕生日と言うイベントはイマイチ理解出来ていない。
そんな事はお構い無しに、土方をほったらかしたまま厨に立つ榎本

だが、しかし暫くして突如、ガッシャーンと派手な音と榎本の悲鳴が挙がり

土方がイの一番に駆け付ければ…

噎せ返る様な甘ったるい匂いが厨に充満し。
地面にペタリと座り込む榎本が、頭から白い物体を被っていた

「何してンだ?;」

土方は?しか頭に浮かばない。
取り敢えず、榎本の顔面を覆う柔らかい物体を指で拭い取ってやる

どうやら甘い匂いをさせているのは、その白く柔らかい物体らしい

「あのね…土方くんに誕生日ケーキを作ろうと思ったんだけどさ―…」

榎本は大きな瞳をこれでもかと潤ませながら土方を見た。
へっついの方を見ると、土方が箱館に来て何度か目にした本来の物とは似ても似付かないが。酷く歪んだそのケーキらしき物体とやらが有る

すると、この甘ったるい匂いの原因である白い物はケーキを覆っているクリームだと判断し。
榎本が己の生まれた月日だから、行おうとしている事を悟った

ただ、本来ケーキに纏わるソレが何故、榎本に纏わっているのかは謎だ
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