土×榎novel-SS
□Afecto…?
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「先生、総裁、早くこっちです!」
「そう走るなって」
ホントに楽しいんだろうな。
無邪気な顔だけを見てれば、年相応で可愛いんだけどね。
彼も何も言わないで従うし。
それに腕を組んでるから、必然的に私も引っ張られて行く訳で
着いたのは洋館造りの一軒の店
「お見舞いって言ったら、花じゃないの?」
「えー、お菓子ですよ。それに、ケーキが美味しいって伊庭さんから聞いて来たし」
「伊庭が言うなら間違いねぇな」
「ですから、先生に是非とも食べてほしくて!」
言ってる傍から眼は既に洋菓子に釘付け。
和菓子からケーキまで美味しそうに並んでる
「榎本様。今日は何をお探しですか?」
「私じゃなくて、この子たちが―…」
そうだ!これは絶好調の機会かもしれない。
お菓子を見てる三人をそのままに、寄ってきた番頭さんを捕まえた
「確か、二階にカウンターあったよね?」
「えぇ、空いてますよ。御休みになられますか?」
「うん!」
前に一度だけ来た事があるからね。
二階は外国人も使えるバーになってるはず
何てったって総裁だし!!
外国人が出入りしてる所は大体把握してるってわけ
「鉄くん。はい、お小遣い」
「え?えぇ…こんなに;」
ちょっと強引に金子を渡して、耳元に口を寄せる
「それで好きなヤツ選んで買って良いよ。お兄さんなんだから、銀ちゃんの面倒を見てあげられるよね?」
「はぁ…分かりました」
「それじゃ、土方くんと二階で待ってるから」
「おい…」
「ちょ、総裁!」
銀ちゃんが呼んでたけど無視して土方くんを引き剥がす。
買収なんて不本意だけど、落ち着いた場所に移動したい
二階に上がると流石は開国都市らしく、所々に置かれたテーブルで昼間から外国人やらが立ち飲みしてる。
夜よりも人は少く、運良く知り合いも居なかった
「ここに座って」
カウンター席に引っ張って隣に座らせてあげると、案内してくれた番頭が来た
「何か飲まれますか?」
「ホットワイン!」
「昼間から酒かよ」
「だって歩いたから寒いんだもん。二人が買って来るまで待ってようよ」
納得してくれたらしく、彼はコーヒーを注文した。
結構な金額をあげたからからね。
ケーキ五個以上は余裕だと思うし、選ぶのにも時間が掛かるよ