Paordy;Serial novel

□Treasure。04
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暴風は唸りを上げて、吹雪と化した雪は止まない

役場の一室で向かい合わせにソファーへ掛ける土方と松平、その横に並んで座る大鳥。近くに伊庭が肘掛け部分に凭れている

ガタガタと硝子を鳴らす風の音だけが鳴り。息苦しいような空気の中で、松平から口火を切った

「話しとは?」

「アイツが来てからだ」

吸っていた煙草を灰皿へ押し宛てた丁度の時、扉が開かれ。開陽を抱いた榎本と高松が顔を出した

「お待たせしました」

「君、仕事は?」

真っ先に駆け寄り、土方の隣へ腰を降ろすと顔を覗き込こんだ。そして前方の松平達を見据える

「…皆も揃ってどうしたの?」

「俺が集めたんだ」

「なんで…?」

何があるのかと不安気に見詰める。土方は小さく息を吸い込んでから眼を伏せて、重たい口を開く

「…腹にいるガキの事だ」

いつも以上に低音な声は、物悲しさを纏う

「やっぱり、男が子供を産むのは危険らしい…」

「…―どう言うこと?」

「詳しい事は私から説明するよ。…いいかい釜さん、落ち着いて聞いてね」

眉を寄せる榎本を宥めるように肩に手を優しく添え。高松は、現段階で考えられる現状を踏まえながら。流産や早産の危険性や、出産後に及ぶ影響。全ての事を告げた


「そんな…私が始めに言い出したせいで……」

漠然と呟きを漏らした

榎本は、いの一番に悪影響を及ぼしたであろう人々の事が頭を過る

償い切れない後悔と罪悪感に苛まれ、榎本の身体が震え出す


「今はテメェの事だろっ!!」

「トシさんッ―…」

薄い撫でらかな肩を掴むと土方は声を張り上げる。眼を見開いたまま呆然とする榎本を気遣い、伊庭が制するも土方は手を離さない
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