キリ番

□9100
1ページ/1ページ

※注意!

・ギャグ
・お年頃×天然
・コレットのキャラ崩壊が激しい


------



気がついたら押し倒してた。
なんて、よくある話だろう。
…よくある話だと思いたい。




若気の至り。
〜頑張れ青少年!〜





今の状況を冷静に、かつ簡潔に説明するならば。

俺が、馬乗りになっている。
クラトスを押し倒して。

以上!

…待て待て待て、以上で終われるわけないだろう。
大体ちっとも冷静じゃないし、説明になってないし。

「…ロイド?」

ああ、クラトス可愛い!
そのきょとんとした顔、最高!

……じゃなくて!!

どうしよう、どうしたらこの場をおさめることが出来るんだ!?

(※混乱しているため、自分がクラトスの上から退く、という最も簡単な選択肢は頭からすっかり抜け落ちている模様)

いきなり腕ひっつかんでベッドに倒したから、「転んじゃった★」なんて言い訳はできないし…。

いっそ、このまま襲っちまうか?
…いや、駄目だ!まだ告白だってしてないのに!

「ロイド…?」

告白…、そうだ、告白!
今告白しちまえばいいんだ!

あ、でもいきなりじゃ、クラトスもびっくりするかな…?
それになんかムード、ってヤツもないし…。

…今更か?今更だな?
第一ムードのつくりかた、なんて知らねえし、考えるだけ無駄だな!

「ロイド、」

そうしたら、やっぱ告白しかないのか?
この体勢で?

……断られても襲っちまいそうな気がする!

待て待て、やばいだろ、いくらなんでもやばいだろ、それは。

かくなる上は…、

「ロイド!!」

「うわぁっ!! は、はい!?」

「…一体どうしたというのだ、いきなり引き倒したかと思えば黙り込んで。具合でも悪いのか?」

「い、いや、そういうわけじゃー…」

ぴと。

「ふむ…、熱は無いようだな」

う、うわあぁぁあ!!
近!!クラトス顔近いよ!!

額がくっついてるから、もう少しで唇もくっついちまいそう…!!

ぷちん、って音をどこかで聞いた。
もう、駄目だ…っ。

「く、クラトスっ」

「…? どうした」

あ、離れちまった。
まあいいや、これからのことに支障はないし。

「俺、病気なんだ…」

「何!? どんな病気なのだ!?」

「顔が赤くなったり、鼓動が早くなったり、胸が苦しくなったり、鼻血が出たり、のたうちまわりたくなったりするんだ…」

「そんな凄い病気なのか…!」

我ながら、すごい演技だ。うまく切ない顔がつくれたみたいで、クラトスは完全に信じている。

(※クラトスが天然+親バカなだけである)

「それで、治すためには、あんたの協力が必要なんだ」

「私の…?」

「そう、あんたじゃなきゃ駄目なんだ!」

「……!!」

「頼むよ、クラトス。力を貸してくれ…」

「…わかった。だが、私は何をすればいいのだ?」

……やった!
これで心置きなく、ヤれる!

「クラトスは何もしなくていいんだ。ただ、俺を受け入れてくれればそれで」

「っ、え」

ああ、夢にまで見たクラトスの唇…っ、

いただきま…


ビゴーーンッ!!


「ぐはーっ!?」

俺の体は横に吹っ飛ばされた。
突然の襲撃に、なすすべもなくベッドから転がり落ちる俺。

「えへへ、グー、だねっ♪ あ、プレセア、ピコハンありがとう!」

「い、いえ…」

現れたのはコレット(とプレセア)だった。
ピコハンではありえない音に、プレセアはちょっと引いてる。

クラトスはというと、展開についていけずに呆然としている。

俺もちょっと、違うところに呆然。
え、今の本当にコレットが?
…斧で戦えるんじゃねーか?

「駄目だよぉロイド、嘘つきは泥棒の始まり、だよ?」

にこり、とコレットが笑う。
怖い。なんか怖い。
そこはかとなく黒いオーラが漂っている、気がする。

「み、神子よ、ロイドは病気なのだ、あまり手荒な真似は…」

クラトスが現実に戻ってきたらしい。
でもまだ混乱しているな、言ってることが微妙に変だ。『嘘つき』発言にも触れないし。
…いや俺的には触れてくれなくていいんだけどな。

「だいじょぶですよ、クラトスさん。リフィル先生が薬作ってくれましたから〜」

そう言ってコレットが取り出したのは、…どこからどう見ても、リフィル先生の手料理(失敗作)。

「えーと、コレット、さん?」

思わず敬語になってしまったが仕方がない。

直感でわかってしまったのだ。
食べたら病気が治るどころか、

呪われる。

「神子、それはリフィルの料理、ではないのか…?」

先生の料理の破壊力を体験しているクラトスが恐る恐る尋ねる。
すると悪魔は…もとい、コレットは、にっこり笑って言った。

「これは食事に見せかけた薬なんです。見た目は悪いですけど、立派な薬なんですよ」

先生が新しく開発したんです、なんて最もらしいことをのたまう。

ああ!クラトス、「そうなのか、凄いな」じゃないだろっ!
嘘に決まってるだろ、気づけー!!

(※天然だから無理)

「ほらロイド。早く食べて、元気になって?」

ああああ…っ!

俺は頼みの綱、とばかりにプレセアを見た。

すると。

「ロイドさん…」

困惑の表情、そして。

「……頑張って、ください…」

視線反らされた…!!

いつの間にか俺は壁際に追い込まれていて。
脳裏に絶体絶命、の文字が浮かんだ。

「はいロイド、あ〜〜ん★」



きゃーーー…っ



宿屋に、俺の情けない悲鳴が響いた。



そして、その後一週間ほど、俺はベッドから出られなかった…。


教訓:よく考えて行動しましょう★



END



count

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ