キリ番
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※注意!
・ギャグ
・お年頃×天然
・コレットのキャラ崩壊が激しい
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気がついたら押し倒してた。
なんて、よくある話だろう。
…よくある話だと思いたい。
若気の至り。
〜頑張れ青少年!〜
今の状況を冷静に、かつ簡潔に説明するならば。
俺が、馬乗りになっている。
クラトスを押し倒して。
以上!
…待て待て待て、以上で終われるわけないだろう。
大体ちっとも冷静じゃないし、説明になってないし。
「…ロイド?」
ああ、クラトス可愛い!
そのきょとんとした顔、最高!
……じゃなくて!!
どうしよう、どうしたらこの場をおさめることが出来るんだ!?
(※混乱しているため、自分がクラトスの上から退く、という最も簡単な選択肢は頭からすっかり抜け落ちている模様)
いきなり腕ひっつかんでベッドに倒したから、「転んじゃった★」なんて言い訳はできないし…。
いっそ、このまま襲っちまうか?
…いや、駄目だ!まだ告白だってしてないのに!
「ロイド…?」
告白…、そうだ、告白!
今告白しちまえばいいんだ!
あ、でもいきなりじゃ、クラトスもびっくりするかな…?
それになんかムード、ってヤツもないし…。
…今更か?今更だな?
第一ムードのつくりかた、なんて知らねえし、考えるだけ無駄だな!
「ロイド、」
そうしたら、やっぱ告白しかないのか?
この体勢で?
……断られても襲っちまいそうな気がする!
待て待て、やばいだろ、いくらなんでもやばいだろ、それは。
かくなる上は…、
「ロイド!!」
「うわぁっ!! は、はい!?」
「…一体どうしたというのだ、いきなり引き倒したかと思えば黙り込んで。具合でも悪いのか?」
「い、いや、そういうわけじゃー…」
ぴと。
「ふむ…、熱は無いようだな」
う、うわあぁぁあ!!
近!!クラトス顔近いよ!!
額がくっついてるから、もう少しで唇もくっついちまいそう…!!
ぷちん、って音をどこかで聞いた。
もう、駄目だ…っ。
「く、クラトスっ」
「…? どうした」
あ、離れちまった。
まあいいや、これからのことに支障はないし。
「俺、病気なんだ…」
「何!? どんな病気なのだ!?」
「顔が赤くなったり、鼓動が早くなったり、胸が苦しくなったり、鼻血が出たり、のたうちまわりたくなったりするんだ…」
「そんな凄い病気なのか…!」
我ながら、すごい演技だ。うまく切ない顔がつくれたみたいで、クラトスは完全に信じている。
(※クラトスが天然+親バカなだけである)
「それで、治すためには、あんたの協力が必要なんだ」
「私の…?」
「そう、あんたじゃなきゃ駄目なんだ!」
「……!!」
「頼むよ、クラトス。力を貸してくれ…」
「…わかった。だが、私は何をすればいいのだ?」
……やった!
これで心置きなく、ヤれる!
「クラトスは何もしなくていいんだ。ただ、俺を受け入れてくれればそれで」
「っ、え」
ああ、夢にまで見たクラトスの唇…っ、
いただきま…
ビゴーーンッ!!
「ぐはーっ!?」
俺の体は横に吹っ飛ばされた。
突然の襲撃に、なすすべもなくベッドから転がり落ちる俺。
「えへへ、グー、だねっ♪ あ、プレセア、ピコハンありがとう!」
「い、いえ…」
現れたのはコレット(とプレセア)だった。
ピコハンではありえない音に、プレセアはちょっと引いてる。
クラトスはというと、展開についていけずに呆然としている。
俺もちょっと、違うところに呆然。
え、今の本当にコレットが?
…斧で戦えるんじゃねーか?
「駄目だよぉロイド、嘘つきは泥棒の始まり、だよ?」
にこり、とコレットが笑う。
怖い。なんか怖い。
そこはかとなく黒いオーラが漂っている、気がする。
「み、神子よ、ロイドは病気なのだ、あまり手荒な真似は…」
クラトスが現実に戻ってきたらしい。
でもまだ混乱しているな、言ってることが微妙に変だ。『嘘つき』発言にも触れないし。
…いや俺的には触れてくれなくていいんだけどな。
「だいじょぶですよ、クラトスさん。リフィル先生が薬作ってくれましたから〜」
そう言ってコレットが取り出したのは、…どこからどう見ても、リフィル先生の手料理(失敗作)。
「えーと、コレット、さん?」
思わず敬語になってしまったが仕方がない。
直感でわかってしまったのだ。
食べたら病気が治るどころか、
呪われる。
「神子、それはリフィルの料理、ではないのか…?」
先生の料理の破壊力を体験しているクラトスが恐る恐る尋ねる。
すると悪魔は…もとい、コレットは、にっこり笑って言った。
「これは食事に見せかけた薬なんです。見た目は悪いですけど、立派な薬なんですよ」
先生が新しく開発したんです、なんて最もらしいことをのたまう。
ああ!クラトス、「そうなのか、凄いな」じゃないだろっ!
嘘に決まってるだろ、気づけー!!
(※天然だから無理)
「ほらロイド。早く食べて、元気になって?」
ああああ…っ!
俺は頼みの綱、とばかりにプレセアを見た。
すると。
「ロイドさん…」
困惑の表情、そして。
「……頑張って、ください…」
視線反らされた…!!
いつの間にか俺は壁際に追い込まれていて。
脳裏に絶体絶命、の文字が浮かんだ。
「はいロイド、あ〜〜ん★」
きゃーーー…っ
宿屋に、俺の情けない悲鳴が響いた。
そして、その後一週間ほど、俺はベッドから出られなかった…。
教訓:よく考えて行動しましょう★
END
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