キリ番

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「父さん、一緒に風呂入ろうぜ!」




ハッピィバスタイム




しゅこしゅこと、スポンジが肌を擦って泡をたてる音が風呂場に響いている。それは決して不快ではなく、むしろ心地よいと感じる音だった。

「クラトス、気持ちいいか?」

「ああ…気持ちいいぞ」

息子に背中を流してもらう。世の父親の夢だ。
一度はそれも諦めていたクラトスだが、やはり父親である以上は、どうやら捨てられない夢だったようだ。

「なんか、こうしてると旅のこと忘れそうだよなー」

「…不謹慎だが、な」

この手の台詞に珍しくクラトスが同意したので、ロイドが上機嫌にニッと笑った。
クラトスの方も、笑んだ気配を背中で感じ取って、つられるように微笑んだ。

「…こんなもんでいいか?」

「ああ、ありがとう、ロイド」

背中以外の場所は自分で擦り、泡を流すべくシャワーを手に取った。
すると、突然ロイドが肩を掴み、クラトスの体を後ろに引き倒した。

「…ロイド?」

力の加減はしたらしく、腰を床で打つことにはならなかった。けれど、ロイドの行動の方が、クラトスには不可解だった。

「クラトス…ごめん」

そう言って、ロイドは泡だらけの背中を後ろから抱きしめた。

何が“ごめん”なのか。

しばらくその原因を考えていたクラトスだが、腰にあたった硬いものによって、ようやく気づかされた。

「ロイド、お前…っ」

「や、風呂に入ろうって言った時は全然そんな気無かったんだけどさ…」

クラトスがすげー色っぽいから。

耳に吐息ごと吹き込まれて、クラトスはぴくりと肩を震わせた。

「責任転嫁だろう、それは…」

「ま、それは気にしないってことで」

…ヤろうぜ?

耳に吐息と共に吹き込まれて、クラトスは甘い疼きに身を震わせた。



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「まったく、お前というやつは…。少しは加減というものを覚えたらどうだ」

「…すみません」

ロイドが素直に反省するのを、クラトスはベッドの上から見ていた。

結局あの後何度も繰り返したため、逆上せたうえに、腰が立たなくなってしまっていたのである。

不機嫌にロイドを見上げるクラトスに、少年は反省の色の薄い声を出した。

「本当、悪かったよ。ヤってる時のクラトスってすっげー色っぽいからさ、歯止め利かなくなるんだよ」

もちろん普段も色っぽいけどな、と言ってのける。

「………、つまり反省してないわけだな?」

「へ?」

ようやくクラトスの声の不穏な響きを感じ取ったロイドだが、もう遅かった。

「一月、おあずけだ」

「……え、ええーッ!?」

おあずけを宣告された哀れな犬――もとい少年は、それから一月の間、悶々としながら耐えていたらしい。



END


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宮月さまに捧げます。




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